以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 78 号 (2007.10.16 刊) からの抜粋引用です。
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先週末に「日本 NLP 学院/セレブリティ インク共同開催」のマスター プラクティショナー コースが無事終了しました。
今回は同コースについての情報、日本の NLP 浸透度についての情報を中心にお伝えします。
1. 「日本 NLP 学院/セレブリティ インク共同開催」のマスター プラクティショナー コースについて
先週末に「日本 NLP 学院/セレブリティ インク共同開催」のマスター プラクティショナー コースが無事終了しました。
最終日の日曜日には、認定のためのコース参加者の査定演習セッションが行われました。これは、各自コース中に学習した各 NLP のモデルと演習テクニックをもとに、自分自身の演習を考案して、一人一人他のコース参加者の前でその演習セッションを披露するというものです。
このコースの参加者は、通常の学院主催のコースとは違って、実際に、人材教育の分野でコンサルタント、カウンセラー、コーチ等として長期間 (場合によっては、二十年、三十年) 活躍されてきている専門家が中心になっていました。
(ちなみに、私のワークはこのような専門家の方々に特に認められる傾向があり、同じく「日本 NLP 学院/セレブリティ インク共同開催」のプラクティショナー コースの初日の私のワークにつきましては、ある参加者から「(先生がおっしゃるように懐疑主義を今後も続けてみたいとは思いますが、それでも) ひょっとしたら私は『やばい』ものを見てしまったのではないでしょうか?」といった感想もいただいていたくらいです。
私自身は、19 年前の 1988 年に英国のロンドン市と米国カリフォルニア州サンタクルーズでジョン グリンダー氏から、それぞれ「個人的天才になるための必要条件」というタイトルのワークショップと NLP プラクティショナー コースを受けたとき「非常に『やばい』ものを見てしまった」という驚愕の印象を受けたのですが、それと同じような NLP の本当のすごさをこのような方々に直接伝えることができたことにうれしく思った次第でした。)
この査定セッションで私が全般的に気づいたこととしては、通常の学院コースの参加者の査定演習を見る際、各人が考案した新演習は非常にオリジナリティに富む反面、やや左脳的な (すなわち、参加者が頭の中でだけで考え出して、実際にその演習がうまく機能するかどうかについて実験的に充分検証しきれていない、という) 印象が拭いきれない場合が多いのですが、今回のコースの参加者の査定セッションでは、ほとんどの場合において、各参加者の考案した新演習は、それほどオリジナルな印象を与えませんでしたが、その一方では、非常に内容的にまとまって、しかもこなれていて、さらには、一つの演習の中に他の NLP の複数の基本的テクニックが非常にスムーズに、シームレスに組み込まれていたことには、さすが、実際の現場で何十年も実践的経験を積まれてこられた方々は、NLP の基本的テクニックの「現実への落とし込み能力」が非常に高い、と思わせていただきました。
その中で、特に私がびっくりした新考案演習がありましたので、この場で報告したいと思いました。
それは、コース参加者の一人がプリゼンした、その方が考案された演習でしたが、まず、この方は、クライアント役の方に、「メタ ポジション」から「ピーク パフォーマンス」を発揮している文脈スポットを設定させました。
その次に、プリゼンターは、クライアントに、「そのピークパフォーマンスの中にある『ポジティブ』な要素と『ネガティブ』な要素を切り離して、それぞれを別個の文脈スポットに置いてください」と指示しました。
その後、クライアントは、切り離されたポジティブな要素のあるスポットの背後に「メンター」がいるように想像するよう指示され、さらにそのメンターになってポジティブな要素がさらにポジティブになるためのアドバイスを与えるように誘導されました。クライアントは、さらに、ネガティブな要素に対しても同じようにメンターを想像して、アドバイスするように指示されました。
この演習は、最後に、このようにさらに強化されたポジティブな要素とメンターのアドバイスで「肯定化」されたネガティブな要素を、もう一度 ピーク パフォーマンス文脈スポットに統合することで終わりました。
クライアント役の方自身、フィードバック時に「ピーク パフォーマンスの中に『ネガティブな要素』があると指摘されて、度肝を抜きました」といった感想を述べられていましたが、私自身、この「ピーク パフォーマンスをポジティブな要素とネガティブな要素に分離する」などという図式は、私のこの長年の NLP 研究においても、いわんやコース参加者の新演習としても、今までどこでも見たことのないメカニズムでした。
私は、これは、「守破離」の原則から逸脱した非 NLP テクニックと見るどころか、ひょっとしたら NLP 四天王も見逃してきていたかもしれない、「コロンブスの卵」 (または「灯台下暗し」) 的な、極めて重要な、今後の NLP 演習フォーマット全体にも影響を及ぼしかねない「発見」であろう、と思いますし、ここでそのように、本メルマガの読者の方々にご報告します。
私は、この極めて興味深い新考案演習を見た後の感想として、「ピーク パフォーマンスの中にポジティブな要素とネガティブな要素の両方が存在するということをクライアントが右脳的に実感する、ということは、すなわち、どのように深刻な問題の中にもネガティブな要素とポジティブな要素の両方が存在するということを (無意識的に) 学習することになると思います。さらに、ピークパフォーマンスを『リバース エンジニアリング』的に分解して、ポジティブな要素とネガティブな要素の両方を (肯定的に) 強化した後、再度組み立てるといったアイデアはすばらしいと思います」と発言させていただきました。
私自身、この (おそらく NLP 業界で初めて発見されたと思われる) 極めて重要なモデルについて、個人的な考察を続けていきたいと思っています。
2. 日本の NLP 浸透度について
日本市場における NLP 浸透度についてですが、数ヶ月前に A4 サイズの「図解 NLP」といったタイトルのついた、イラスト満載の本が発売されたとき、私は、内心、「これで NLP の日本市場における『通俗化』が (象徴的に) 始まったな」と思いました。
また、私の学院コースの九州からのある参加者は、小学校の教師で、教育委員会のメンバーでもあった人ですが、グリンダー氏が開催された「NLP コーチング」コースにも参加されて、同氏から直接の教えを学校に持ち帰り、自分自身で考案された「活動過多症」その他の児童の問題を解決されてきている、ということです。
この方は、当初は、私の資格コースに参加に対するコミットメントは非常に高いが、学校とのスケジュール調整のため、なかなかフルタイムで参加することはできないでしょう、と言っておられましたが、現在、校長先生や同僚の先生方が、この方の紹介する NLP のパワーを見せつけられて、「学校を休んでもよろしいので、どんどん NLP を習ってください」といった意味のことまで伝えられているようです。
私は、この例は、この方の当初のコミットメントが現在の状況を作り出していると思います。いわば、グリンダー氏が以前言われていたように、「Dreams compel themselves to be true. (夢は、現実化されることを自己強要する)」と思います。
このように、徐々にであれ、一番保守的といわれている国内の学校教育の場にも NLP が導入されてきていることは、喜ばしいことだと思います。
もう一点、NLP の国内市場化について、私が「驚愕した」事実があります。
私の名古屋の知人は、NLP ピアをプロモートする代理人業務をしていますが、この方は、自分が評価する NLP ピアをある医療クリニックにカウンセラーとして送り込むことに成功していて、またさらに別のクリニックにも同様に送り込む予定だという話を聞いています。
私が驚いたのは、この (優秀な) NLP ピアは、国内のある NLP 団体のマスター プラクティショナー卒業生ですが、その他には、特別な資格を有していないという事実です。
私は、国内の NLP 市場内外を「知っているつもり」なので、(NLP が浸透しきっている欧米であればともかく) 国内の医療関係者が NLP の資格だけをもっている人をカウンセラー、セラピストとして雇うことは「ありえない」という前提で物事を考えてしまいますが、このNLP ピア (しかも NLP トレーナーとして認定されていません!) を売り込んだ私の知人の実力は極めてすばらしいと思いますし、同時に、医療関係が NLP を受け入れ始めているこの事実は、NLPの国内における通俗化の「極めつけ」を象徴していると、私には思えます。
作成 2023/12/14