以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 52 号 (2006.4.11 刊) からの抜粋引用です。
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今回は、北岡泰典公式ワークショップ シリーズの告知、日本 NLP 学院の大阪マスター プラクティショナー コース終了の報告、グリンダー氏の新メッセージ紹介等がなされます。
1. 北岡泰典公式ワークショップ シリーズ
大阪での第二回「北岡泰典公式ワークショップ シリーズ」は、3 月 24 日に、「ワークその 1『汝自身を知れ』 レクチャー 1.2 『ニューロロジカル レベルと五つの鞘』」として成功裏に開講されました。
第三回ワークショップ「ワークその 1『汝自身を知れ』 レクチャー 1.3 『ガチョウは外だ!』」は、4 月 14 日に開講されると告知されていましたが、急遽 4 月 21 日に日程が変更されました。
参加申し込みの詳細は以下のサイトを参照してください。
http://www.holonpbi.com/nlp/kitaoka.htm
大阪北岡泰典公式ワークショップの紹介ページは以下にあります。
http://www.kitaokataiten.com/archives/2005/09/osaka.html
東京での第八回ワークショップ「ワークその 2 『オルタード ステーツ (変性意識) とは?』 レクチャー 2.2 『トランスパーソナル心理学について』」は、2006 年 3 月 15 日 (水) にホテル ヴィラ フォンテーヌ汐留コンファレンス センターで成功裏に開講されました。
現在、2006 年 4 月 12 日 (水) に開講される第九回ワークショップ「ワークその 2 『オルタード ステーツ (変性意識) とは?』 レクチャー 2.3 『SDMLB (状態依存の記憶、学習、行動』」に残席がまだあります。
なお、開始時間が通常とは異なっています。
ワークショップの詳細は以下の通りです。
レクチャー 2.3 『SDMLB (状態依存の記憶、学習、行動』
開催日時: 2006 年 4 月 12 日 (水) 18 時 30 分~21 時 30 分 (通常とは時間に変更があります。)
開催場所: ホテル ヴィラ フォンテーヌ汐留コンファレンス センター
募集人数: 10 名 (予定)
参加費: 事前振込み 1 万円、当日支払い 1 万 2 千円
このワークショップでは、NLP の「アンカーリング」の概念はコンピュータ用語のプログラミングと同等であり、また、ヴェーダンタ哲学の概念である「サムスカーラ」と同じであることが考察、検証されます。ちなみに、「アンカーリング」は、卓越した現代の心理学者によって提唱されてきている非常に広範な他の概念と密接な関係があります。たとえば、アーネスト・L・ロシの「SDMLB (状態依存の記憶、学習、行動)」、チャールズ・タルトの「d-ASC (個別の変性意識)」と「d-SoC (個別の意識状態)」、スタニスラフ・グロフの「COEX システム (凝縮経験システム)」、およびはユングの「原型」または「コンプレックス」も、まったく同じメカニズムを示唆しているように思われます。さらに、グルジェフの「多数の私」も、仮にこれらの概念と等価と見るとすると、さらに容易に理解できることでしょう。
上に列挙された用語のうちで、これらの基盤をなしている同じ意味 (または、少なくとも似た意味) を最も典型的に表しているのはロシが提唱した SDMLB であることについても考察、検証されます。
SDMLB 関連演習としては、ユング的コンプレックスを瞬時に解消できる「共感覚の分離」演習が予定されています。
参加申込みサイト: www.kitaokataiten.com/work/top.html
(注意: 参加申込みの混雑が予想されますので、申込みはお早めにされるようお勧めします。)
2. 大阪第一期マスター プラクティショナー コース終了する
日本 NLP 学院の大阪第一期マスター プラクティショナー コースが無事にこの週末無事終了しました。
このコースは、6 ヶ月前に終了した大阪第三期プラクティショナー コース生がそのまま全員マスター プラクティショナー コースに参加したという、コース生全体に非常にコミットメントと一体感が見られたコースでした。
最終日の日曜日には、コース生の査定セッションがありましたが、その内容は、私の予想を超えたものでしたので、このメルマガで特別報告したいと思いました。
すなわち、前モジュールまでに、コース生には最終日に査定は一日がかりで行われること、査定対象の演習はマスター プラクティショナー コースで学んだ演習あるいは第四モジュールでの宿題である「自分自身の新規考案演習」であること、という告知はしていましたが、この告知の徹底を前日の土曜日のセッション終了時に行うことを私は忘れていました。
また、このコース生には、2 週前の第四モジュールの際にグループ単位で「新演習考案」演習をしていただきましたが、中には、たとえばタイムラインの現在のスポットとニューコード NLP ゲームを組み合わせた演習などもあり、セッション終了後に「このように旧コードの個人編集テクニックとニューコード ゲームを組み合わせていいのですか?」、「ニューコード ゲームは必ず『ニューコード変化フォーマット』の一部であるべきというふうに過去にグリンダー氏がおっしゃっていたのに、このように『単体』で他のテクニックと組み合わせてもいいのですか?」といった質問が出たので、私は、コース生にかわってグリンダー氏に質問して、同氏の回答を前日の土曜日までにコース生に伝えていましたが、その回答は「決定的」なものではなく、すべては同氏が今月末に来日されたときに直接質問して、最終回答を得るということになったので、コース生には「混乱」が残っていました。(このグリンダー氏の回答は、次の項目「3. グリンダー氏の新メッセージ」で引用されているものです。)
これらの理由により、クジ引きで順番が決まった最初のコース生が査定演習を始めたとき、既存の演習ではなく、自分で考案した新規演習を紹介し始めたのですが、この際、私は正直「今日の査定はどうなるのだろう」と思いました。
しかしながら、最初の方の演習を含め、コース生は全員新規考案演習を紹介しましたが、(前日までのニューコード ゲームに対する混乱のためか) ニューコード ゲームを取り入れた新規演習は一、二例しかなく、また、新規考案演習とはいっても、既存の (旧コード NLP) 個人編集テクニックのいくつかを非常に巧みな形で統合したものばかりで、私の当初の危惧は、すぐに吹っ飛びました。
コース生は全員、自信をもってプリゼンし、多くの方々は、「新演習考案に関して、時間もなく、どうしようかと (意識的には) 思ったけれど、デーモン (無意識のパーツ) に任せたら、すべてうまくいきました」と発言していました。これは、たとえ、ニューコード ゲームの理論的左脳的理解に関して混乱が仮に確かに現時点であったとしても、これまでの種々のニューコード ゲームの実践を通じて意識と無意識の間の扉がホーリスティックに開いて、解放されてしまっていることを示唆しているのかもしれないと思いました。
また、既存の個人編集テクニックの統合、組み合わせ方にしても、私が常々口にしている「基本に忠実たれ!」を無視したコース生はおらず、「すべてが見えた」上での有機的統合で、私が、演習紹介を終えたあるコース生に「この演習は既存の A テクニックと B テクニックを部分的に統合していますね。どうして全面的統合にしなかったのですか?」と質問すると、そのご本人は「全面的統合では、その組み合わせが見え見えになってしまいますので」という「したたかさ」も見せているほどでした。
結論としては、この日の査定は、既存 NLP テクニックに制限されることもなく、ニューコード ゲームを必要以上に導入することもなく、かつ、新規演習も既存のテクニックを「ホーリスティックに統合」したものであったので、「理想的な配分」の査定演習を見ることができた、というのが私の正直な全体的意見です。このコース生全員の最終ワークに対する努力、コミットメント、知性、その結果を「絶賛」したい気持ちでもあります。
私は、(他のトレーナーズ トレーニング コースにも参加した) 過去の私のコース生に、「先生のマスター プラクティショナー コースの内容は、場合によっては他のトレーナーズ トレーニング コースの内容よりも濃いかもしれません」と示唆されたこともありますが、確かに今回認定された大阪マスター プラクティショナー コース生の認定書には NLP 創始者のグリンダー氏のサインも記されているのですが、その名前に恥じないのでは、と「自負」させていただいているところです。
大阪第一期マスター プラクティショナー コース生の方々、改めてこの度は認定おめでとうございました。皆様の「NLP パイオニア」としての今後のご活躍を心からお祈りしています。
3. グリンダー氏の新メッセージ
上記項目でも示唆しましたように、大阪マスター プラクティショナー コースの第 4 モジュールで出たニューコード ゲームに関する各質問をコース生にかわってジョン グリンダー氏に対して行い、その回答をいただきましたが、その内容の一部を本メルマガで公表してもよい、という許可をいただきましたので、以下に、編集引用したいと思います。
私の質問は、「今回の『新演習考案』演習では、一、二の演習グループは、タイム ラインのような旧コードのモデルと、独自で考案したニューコード ゲームの組み合わせを考えつきました。一つのグループは、ボランティアをタイム ラインの現在のスポットに立たせた後、脇に移動させて、ニューコード ゲームをプレーさせました。その後、ボランティアを現在スポットに戻らせ、未来に向かって歩ませました。このフォーマットについてどう思いますか?」といった内容でした。
グリンダー氏の回答は以下のとおりでした。
「これは、古典コードとニューコードのもっとも粗野な形の『統合』です。私とカルメンは、5 月の日本でのトレーナーズ トレーニング コースで、古典コード パターニングの最も近いニューコード バージョンへの変換アルゴリズムを紹介します。なお、このケースは機能しますが、必要以上の時間がかかります。このケースで達成できることは、すべてニューコードで達成できます。
たとえば、『パーソナル ヒストリー チェンジ』等とニューコードの組み合わせの可能性についてですが、これは機能します。ただ、このテクニックの場合 (メタポジションから) 意識的な助言が与えられますが、そのような助言は無意識によって追認されるまでは効果性が制限されています。さらに有能性の高い無意識からの情報の方が常により優れています。」
ニューコード ゲームを「ニューコード変化フォーマット」の一部ではなく、単独で行うことについても、グリンダー氏に質問しましたが、同氏の回答は以下のとおりでした。(「ニュー コード変化フォーマット」の簡略手順は、本メルマガの第 42 号で紹介されました。)
「ニューコード ゲームを単独で行うということは、文脈のないままの高パフォーマンスを生み出してしまうので、これは避けるべきです。
言い換えれば、ニューコード ゲームの唯一の目的は、高パフォーマンスを発展させることです。ここでの質問は、『どのように高パフォーマンスの確立が有益であるか?』です。私の見解から言えば、オリンピック選手、俳優、プロのシンガー、ミュージシャン、交渉人がいた場合、パフォーマンスの直前に、クライアントとニューコード ゲームを行い、そのゲームから実際の現実の文脈に直接進ませることは、適切なことです。この場合、結果は目を見張るものでしょう。
ですので、明らかに、『変化フォーマット』の手順 1、2、4 は、高パフォーマンスを特徴づける差異が『自発的に発生』する場所を選択するための適切な方法を確立しています。手順 2 と 4 では、コーチによるカリブレーションとプレーヤーによる自己カリブレーションが行われる必要があります。このカリブレーションは、手順 2 と 4 の文脈へのプレーヤーの自発的反応の身体的特徴の差異に対して行われるべきであり、かりに差異が発見されない場合は、ワークがどこかで欠陥をもっていることを示すことになります。
ところで、プレーヤーが手順 2 と 4 の文脈に入るとき、身体的反応の広がりに対して意識的にいっさい介入しないように必ず指示してください。言い換えれば、ニューコード変化フォーマットのどの時点においても、プレーヤーは、意識的にどう違うかについて影響を与えることを意識的に考えたり、そのような試みをすることがあってはいけません。何が異なるかについての選択の責任を無意識と意識のどちらに委ねるかが、古典コードとニューコードの基本的識別区分です。
手順 2 の文脈を定義する聴覚的および視覚的刺激は、その文脈に対する『現在の状態』の身体的反応を引き出す従来のアンカーとして機能します。すなわち、プレーヤーは、該当の文脈でいつも経験したことを経験します。しかし、手順 4 の後は、同じ刺激が「ブリッジ」として機能して、(ゲーム後に) プレーヤーが変化ワークの間に使われた文脈に入るたびに、これら同じ聴覚的および視覚的刺激が、(一式の堅固なアンカーとして) 高パフォーマンス状態の再活性化し、その再活性化された高パフォーマンスから新しい行動が自動的に生成され始めることが保証されます。」
ところで、私の関連質問に対して、グリンダー氏から以下のようにも回答していただきました。
「ちなみに、NLP 業界における『生成』変化に関する何十年ものナンセンスな論議について考えてみてください。『生成』という用語は、私のオートマン (ロボット) 理論の背景と (変形生成文法とそれを継承した理論の) 言語学的モデルから借用したものです。これは、言語の語句 (言い回し、文等) を生成し続ける単一の単純な再帰的規則体系のことです。この用語は、それが実際に何を意味するのか理解していない『宣伝屋』 (NLP 業界にもたくさんいますが) によって利用されました。彼らは、理解しないまま、広告業界の特殊用語としてこの用語を使っています。生成変化は、私の意見では、変化ワークの重点を、行動を変化させることから状態のレベルで介入することへ移行させる形で、最初に NLP で現れました。行動のかわりに状態を操作する場合、ニューコード ゲームを終えたプレーヤーは、どのような行動に従事するかに関しては『何も知らない (Know-Nothing)』状態に残されます。単に理解できない状態です。このようにして、次回プレーヤーが実生活で『同じ』または類似した文脈に入ると、高パフォーマンス状態が先に説明したような形で再活性化され、過去に経験したことないような行動が生成され始めます。この際、理想的には、プレーヤーが該当の文脈に入るたびに、プレーヤーの意図、および、直面する文脈の具体的な特徴の違いに見られるニュアンスを条件として、生成される行動は常に異なったものになります。」
私は、このグリンダー氏の回答は、極めて大きな意味合いをもっていると思います。なぜならば、私は、常々、私自身は、NLP を知る前にほぼすべての「変性意識」状態を実験し、NLP を学ぼうとしたきっかけは、NLP のアンカーリングのようなテクニックを使って、すでに経験した特定の人間意識を自由自在に「再現」することだったので、別に「生成」局面は私には特に必要としていませんでしたが、NLP を学ぶ前にそのような実験なりをしたことない「新参者」には、今までに経験したことのない意識状態を NLP だけを通じて獲得することは不可能であろう、と思っていたからです。これは、レモンの味をすでに知っている人が NLP を使って自由自在にその味を再現できるが、レモンの味を知らない人にその味を味あわせることについては NLP は完全に無力である、という私の理解に基づいていました。
私自身、「NLP は、意識の実験の『新参者』にどのようにして新しい経験をもたせることができるのか?」の問いへの答えは見つけられずにきていましたが、グリンダー氏が提唱するニューコード NLP の生成変化を生み出す「ノウ ナッシング ステート」が、まさしくその答えになりうるだろう、と考えているところです。この「生成変化」の方法論により、NLP を実践することだけで「新しい内的体験を合成」できる可能性が少なくとも初めて生み出された、と言えるかと思います。
作成 2023/11/18