以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 50 号 (2006.3.8 刊) からの抜粋引用です。
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おかげさまで、本メルマガは、第 50 号の発行となりました。第 1 号は 2003 年 10 月発行なので、約 2 年半でここまで来ることができました。
その間、2003 年 11 月から NLP プラクティショナー コースを開始し、今までに、東京 (現在の東京コースは第五期)、大阪 (第三期)、福岡でプラクティショナー コースが開講され、東京 (第三期)、大阪 (第一期) でマスター プラクティショナー コースが開講されてきています。
2005 年 3 月には NLP 共同創始者のジョン グリンダー氏を日本に招聘してビジネス ワークショップを開講していただくことにも成功しましたし、これを受けて、2005 年 4 月初めに私の認定団体の名称が「英国 NLP 学院日本校」から「日本 NLP 学院・グリンダー & ボスティック認定校」に変わりました。
本年のゴールデン ウィークには、グリンダー氏はカルメン ボスティック女史とともに再来日し、「NLP コーチング認定」コースと「トレーナーズ トレーニング」コースを開講することになっています。
この「NLP コーチング認定」コースの一部として 3 日間の「ニューコード NLP」ワークショップが、3 月 3 ~ 5 日に開講されましたので、本メルマガではその報告をさせていただきたいと思いました。
1. 「NLP コーチング認定」コース「ニューコード NLP」ワークショップ開講される
3 月 3 ~ 5 日に、日本 NLP 学院主催の「NLP コーチング認定」コースの一部としての 3 日間「ニューコード NLP」ワークショップが開講されました。
講師は、私と、NLP のビジネスへの実践的適用を専門にされている石川正樹氏でした。参加者は 30 名で、その中には私の現在の (プラクティショナー、マスター プラクティショナー) コースの参加者もいましたし、私と初めて会われた方々もいましたし、NLP を初めて学ばれる方々もいました。日本語を喋られる韓国から来られた方もいらっしゃいました。私に初めて会われた方々は、主に女性で、コーチングを専門とされているプロの方々のようでした。他にも、起業家、企業マネジャー、セラピスト、カウンセラーの方々が参加されていました。
ワークショップでは、一日目には、NLP を初めて学ばれる参加者のために、ラポール、カリブレーション等の NLP の基本テクニックが学習され、「SRCF (ステート マネジメント、ラポール、カリブレーション、フレキシビリティー)」の重要性が強調されました。
二日目には、「カリブレーション」、「バーバル パッケージ」、「NLP ニュー コード変化フォーマット」等が学習されました。
三日目には、「カリブレーション」、「無意識的シグナル確立」、「多重知覚ポジション」等が学習されました。
三日間を通じて特に強調された点は、(クライアントだけでなく、コーチ自身の)「意識」と「無意識」の間の協調でした。また、従来のコーチングでは、クライアントの意識の部分しか扱わない (そのため、時間が非常にかかりすぎ、後々にクライアントが「買い手の後悔 (buyer’s remorse)」を経験する可能性が高い) ので、クライアントの中に「トランスレーション (水平的な置き換え)」 しか起こらない可能性が高い一方で、NLP コーチングでは、クライアントの無意識も全面的に扱う (そのため、飛躍的に短時間でワークが達成でき、クライアントに恒常的な行動の変化が引き起こされる可能性が高い) ので、「トランスフォーメーション (垂直的変容)」が達成される傾向にあることが指摘されました。
特に、二日目と三日目の朝のセッションの私の左脳的説明では、来月翻訳書が出版される予定のグリンダー氏著の『個人的な天才になるための必要条件』に示されている「中心視野と内的対話が使われているときには意識が支配的で、周辺視野が使われ、内的対話がないときには無意識が支配的である」という示唆と、デーモン (自分の無意識的パーツ) をコントロールすることの重要性が強調されました。
特に、三日目の朝の説明では、各 NLP モデルが意識と無意識のどちらの領域に分類されるべきかが図式を使いながら説明されました。この図式は、プロのコーチングの参加者の方々向けに、私が新たな要素を加えながら作成したもので、以下に示します。
意識 ———- 中心視野 内的対話 内容 (詳細) デジタル 4Ti | 無意識 ———- 周辺視野 内的対話なし プロセス (文脈) アナログ 4Te |
また、ある人が通常使っている意識の帯域は非常に限定されたもので、たとえば、ニューコード NLP の「ノウナッシング ステート (Know-Nothing State)」にアクセスできれば、通常は使っていない「変性意識」にアクセスできることが示唆されました。この際、ある人の通常意識は、別の人にとっては変性意識である場合があり、その人の変性意識が別の人の通常意識である場合がある、という相対的な関係性が成り立つことが、以下のような図式を使って解説されました。
さらに、 ノウナッシング ステートに入った場合、この通常意識と変性意識の帯域の「垣根」が取り払われてしまうので、意識の全帯域が活性化された状態になるのではないかという仮説が提示されました。これは以下の図式のようになります。
これは、あくまでも、仮説ですが、今後、さらに「変性意識」の研究を続けて、ノウナッシング ステートがどういうものであるか、についての左脳的マッピングを提示したいという私の思いをワークショップの参加者の皆さんに伝えさせていただきました。
もう一点、このワークショップで重要性をもったワークは、「無意識的シグナルの確立」演習でした。これは、旧コード NLP の中でもっともニューコードに近いテクニックとされる「6 ステップ リフレーミング」の簡易版演習として行われました。本質的には、意識でコントロールできない無意識的な「観念動作シグナル」を確立して、それを使って、今問題となっている行動に対する代替行動手段を直接無意識から提案してもらうというテクニックですが、この演習を行ったワークショップ参加者は、自分の中に眠っている、意識からは独立した無意識の存在を知って、驚かれたのではないでしょうか?
もちろん、コーチングでは、第一ポジションだけに陥っているだけでは効果的なワークができないので、第二ポジションにも自由に行け、さらにクリーンな第三ポジションも確立できる知覚ポジション変更関連演習もワークショップの最後の演習として行われました。
ワークショップ参加者の方々の反応はよかったと理解しています。特に、個人的には、一日目から、演習時間等の間に参加グループ全体のエネルギーが少しずつうねりのように高まっていくのが目に見える形で感じられ、そのエネルギーの高まりがどんどん蓄積していき、三日目の最後のセッションで、それが最高潮に達していった感もありました。
私自身、このような参加者のエネルギーのうねりの高揚を感じることはあまりないので、非常に珍しい経験をもちました。私を知っている何人の方々から「今回の北岡先生のプリゼンは特によかったです」とも言われましたが、その印象を与えたのは、私自身のワークというよりも (私自身はいつも通りだったという自覚です)、むしろワークショップ参加者の方々のレベルの高さだったと思っていますので、この紙面を通じて、本ワークショップの参加者全員に対して、そしてスタッフの方々にお礼を申し上げたいと思います。(また、石川氏のビジネスへの実践的適用の観点からのワークもこのことに大いに貢献したことはいうまでもありません。)
この「NLP コーチング」のワークショップを機会に、NLP の切れ味のよさと多大な効果性が、国内のコーチング業界にも広く知られるようになることを祈っています。
なお、本ワークショップの内容は、以下の石川正樹氏のサイトでも報告されていますので、参照してください。(ニューコード NLP の言う「二重記述」が得られるかと思います。)
http://www.ishikawamasaki.com/archives/2006/03/nlp20063335.html
2. ノウナッシング ステート
ニューコード NLP の根幹的モデルは、全知覚入力経路が開いていて、 同時的平行プロセスが起こっていて、 両方の脳半球が刺激されているような、意識と無意識の全帯域が活性化されている状態を意味する「ノウナッシング ステート (Know-Nothing State)」ですが、この用語について、私はこれまで「ノウイング ナッシング ステート (Knowing Nothing State)」を使っていました。
しかし、ニューコード NLP の提唱者であるグリンダー氏はその著書等では一貫して「ノウナッシング ステート (Know-Nothing State)」という用語を使っていらっしゃるので、今後、私もすべてこの用語で統一していきたいと思っています。
この「早い」段階で、用語不統一の問題を取り除くことができれば、と願っています。
作成 2023/11/16