以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 43 号 (2005.11.18 刊) からの抜粋引用です。

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今回は、「NLP コーチング ファースト ライブ ワークショップ」と私の公式ワークショップ シリーズの最新情報を中心にお伝えします。


1. NLP コーチング ファースト ライブ ワークショップ

来年の 3 月から JMA 社と日本 NLP 学院主催のジョン グリンダー氏認定「NLP コーチング認定コース」が開始されますが (グリンダー氏の講義は 2006 年のゴールデン ウィーク期間中に行われます)、そのコース紹介を兼ねた「NLP コーチング ファースト ライブ ワークショップ」が 12 月 9 日 (19 時~ 21 時半)に行われます。

このライブ ワークショップの講師は、私と、ハートネット社代表の石川正樹氏です。

私と石川氏は、これに先立ち 11 月末に渡英し、ロンドン市でグリンダー氏からニュー コード NLP および NLP コーチングの特別研修トレーニングを受けることになっていますので、このワークショップでは、非常にホットな、新鮮な ニュー コード NLP および NLP コーチングについての情報を参加者の方々にお伝えできることになっています。

ちなみに、これまでは、コーチングと言えば、米国、日本とも、個人向けファシリテーションを意味する傾向が強かったようですが、伝統的にもソーシャル コーチング、オーガニゼーション コーチングといった傾向が非常に顕著であると見なされているヨーロッパ (特に英国) で、私と石川氏が NLP の共同創始者から直接 NLP を学び、かつ、日本の企業界に組織向けコーチングの流れを作り出すきっかけを作れるようになるであろうことは、誠に象徴的な出来事である、と言えるかもしれません。

本 NLP コーチング ファースト ライブ ワークショップの詳細については、以下にアクセスしてください。

http://www.nlpjapan.com/workshop/


2. 北岡泰典公式ワークショップ シリーズについて

先のメルマガの『2005 年 11 月 6 日付号外特別号』 でお伝えした「北岡泰典公式ワークショップ シリーズ」の第二回ワークショップ「ワークその 1「汝自身を知れ」、レクチャー 1.1 『ニューロロジカル レベルと五つの鞘』」は、 2005 年 11 月 16 日にホテル ヴィラ フォンテーヌ汐留コンファレンス センターで、参加者 12 名で開講され、成功裏に終了しました。

私のメルマガの長期間の購読者でまだ私に会ったことのない、いわゆる「ステルス」の方とも徐々にお会いできるようになってきていることも、うれしく思います。

このワークショップでは、NLP 共同創始者ロバート ディルツの提唱する「ニューロロジカル レベル (心身論理レベル)」は、印度ヴェーダンタ哲学の中心的概念の一つである「五つの鞘」の概念と完全マッピングが可能であることが解説されました。さらに、「心身論理レベルの整合」演習が実地体験されました。

「心身論理レベル」、「五つの鞘」とも、「真の自己」を包んでいるフィルター (鞘) のようなものであり、これらのレベルの「マヤ (幻影) としての自己」との非同一化のプロセスこそ、まさに「汝自身を知る」プロセスにすぎないことが解説されました。

次回第三回目の北岡泰典公式ワークショップの詳細は、以下の通りです。

開催日時: 2005 年 12 月 14 日 (水) 18 時~21 時
開催場所: ホテル ヴィラ フォンテーヌ汐留コンファレンス センター
http://www.villa-fontaine.co.jp/shiodome/
トピック: ワークその 1「汝自身を知れ」、レクチャー 1.3 『ガチョウは外だ!』
募集人数: 10 名
参加費: 事前振込み 1 万円、当日支払い 1 万 2 千円
参加申込みサイト: www.kitaokataiten.com/work/top.html

(注意: 参加申込みの混雑が予想されますので、申込みはお早めにされるようお勧めします。)

この第三回ワークショップでは、「今ここ」にいることで、すべてのマインドの問題は瞬時に消え去って、「悟りの境地」にいれるということを意味する、禅考案の「ガチョウは外だ!」についての考察がなされ、かつこの洞察は、たとえば NLP の「信念アウトフレーミグ公式」演習等によって、右脳的に、体感覚として、実際に体感できることが実証されます。

本ワークショップ シリーズでは、前のワークショップの参加が次のワークショップへの参加の条件とはなりませんが、北岡の「変性意識ワールド」の全容を知るには、できるだけ多くのワークショップへの参加をお勧めします。

各ワークショップでは、参加者の「的を得た」あるいは「的を得ていない」質問が大歓迎されます。これは、北岡は、「プリゼンター」というよりも「対話的ワークショップ トレーナー」であるために、ワークショップの質をできるだけ高めるためには、「質問を食べる獏」である北岡には、参加者からのフィードバックが最重要要素だからです。

今後も、「ワークその 1 「汝自身を知れ」」のテーマ下で、以下のようなワークショップが予定されています。

– レクチャー 1.1 『アンカーリングと真の自己』
– レクチャー 1.2 『ニューロロジカル レベルと五つの鞘』
– レクチャー 1.3 『ガチョウは外だ!』
– レクチャー 1.4 『NLP は瞑想に取って代われるか?』
– レクチャー 1.5 『掲諦掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦/Gone, Gone, Gone Forever』
– レクチャー 1.6 『マインドでマインドを超えられるか』

本ワークショップ シリーズの今後のトピックのさらなる予定詳細は以下のサイトで参照可能です。

www.kitaokataiten.com/archives/2005/09/workshop_topics.html


3. 個人編集テクニックについて

最近、私は、個人編集テクニックを定義する比喩として、自動洗濯機のイメージを使っています。

これは、自分の欲さない、汚れた服、すなわち、変更したい自分の行動、思考パターンがあれば、これを「ブラックボックス」的な個人編集テクニック演習という自動洗濯機の中に入れることで、演習中は、洗濯機が回っているので、演習をしている本人は「混乱」を覚えたりする場合もありますが、洗濯の後は、きれいになった服、すなわち、以前よりももっと受け入れることのできる行動、思考パターンをもった自分が生み出されるわけです。

この際、きれいになった服、すなわち自分の新しい行動、思考パターンに満足のいかない場合は、もう一度洗濯機にそれを入れて、同じプロセスを、満足のいく状態が得られるまで繰り返すことができることは言うまでもありません。


4. 4Te と 4Ti

「4Te と 4Ti」は、非常に基本的な NLP のモデルですが、最近、私は、改めて、このモデルのパワフルさを最近再認識してきています。

「4Te と 4Ti」については、本メルマガの第 40 号の『NLP 徒然考、その 17』でも言及されていますが、最近、私は非常に基本的なことに気づくようになりました。

それは、私の最近の第一回公式ワークショップとマスター プラクティショナー コースの最後に宿題として質問した「この世の中、すべてはアンーリングですが、実は一つだけアンカーリングできないものがあります。それは何だかわかりますか?」という命題と関係があります。

ある方は、「その答えは『自分自身』ですか?」と言われましたが、私は「違います」と答えました。

この命題の私の答えは「4Te です」、というものです。

すなわち、アンカーリングの対象となるものはすべて過去の体験で、必然的に、「4Ti」である一方で、「4Te」だけが今ここに存在する現実から常にリアルタイムで送られてくる入力であるという意味で、4Te は、唯一「生きたもの」と定義できると思います。かつ、この 4Te だけが、唯一、このマインドが予め予測できない 4T の内容だと言うことができます。

この意味では、4Te は、印度哲学の「絶対神」である「ブラーマン」 (唯一の現実です) と同一視することができると言っても、あながち誇張しすぎる表現でないことが判明するかもしれません。


5. シェアリングとトランスフォーメーション

最近の私のワークの中で、私は、トランスパーソナル心理学者のケン ウィルバーの「あることが真理であることを確認する手段」に言及しています。このことについて、本メルマガの 18 号から以下を引用します。

「普通、私たちは、『絶対的真理』というものがもしあるとしたら、その真理は万人が認めざるを得ないと思い込みがちですが、そういう絶対的真理でさえ『共同幻想』でしかない、と思わざるを得ない非常に興味深い主張をトランスパーソナル心理学者のケン ウィルバーがしています。

以下に、ウィルバーがその著『目には目を』で提唱した『妥当なデータ蓄積の 3 要素』に基づいた、私自身のバージョンの『あることが真理であることを確認する』手段としての 3 ステップ手順を記してみます。

1. 命令。これは、たとえば、『もしこれを行えば、それを獲得します』というような、(命令内容の妥当性を) 知っている者による指示です。

2.個別確認。命令に従った人が命令内容の妥当性を自分自身のために確認します。

3.共同確認。命令に従った一定数の人々が、命令内容の妥当性に関する自分自身の確認を相互共有し、この時点で、命令内容がこれらの人々が属するグループの中で真理として見なされるべきことになります。

上記の真理確立のための 3 ステップ手順は、科学的な真理の確認 (科学者は、同じ条件下で実行される反復実験で同僚が同じ結果を得ることに重く依存しています)、ユークリッド幾何学の公理、(『現代で最も偉大な 1 人のファッション デザイナー』ではないにしも) 『現代で最も偉大な複数のファッション デザイナー』の確定、政治的運動の盲目的な追従等を始めとして、ありとあらゆる領域においても機能しているように思われます。

このようにして「確立」された真理は、その妥当性を確認する人々のグループの中だけで妥当であることを強調しておく必要があります (これは「同語反復」です)。

ある特定の真理を確認するための上記の手順を考慮すると、現代の『科学の部門化』の時代に、1 つの体系内で専門家が発見した真理は、その体系の機能のし方を知らない部外者によっては容易に理解、受容されないかもしれない一方で、長期間充分に 1 つの体系内で研究する者は皆必然的にその体系内での普遍的結論 (すなわち、真理) に到達するはずである、ということが明らかになります。

人々が容易にお互いに意見を共にすることができない理由は、普遍的真理があまりにも難解であったり、理解するにはあまりにも捉え難いものであったりするからではなくて、むしろ人々は、部門化された各科学分野で確認できる『小さな』真理を『大きな』普遍的真理に統合するための手立てを (少なくとも現在のところ) もちあわせていないからです。

著者は、仮にさまざまな真理が論理タイプの理論に基づいて適切に整理されることが可能になれば、複数の小さな真理を普遍的真理の中に統合することは可能であると信じています。」

最近の私のワークでは、以上のことを説明した後、私は、「私の言っていることは、常に、皆さんが主観的体験としてじかに吟味できるように、命令あるいは『サジェスチョン』として表明している私の側の単なる『シェアリング』であって、皆さんがその妥当性をどう判断されるかについては、私にはいっさいコントロールはできません」と付け加えています。

すなわち、私には、人間真理を高尚な立場から他人に教師のように教え込む (いわば「操作」することですが) ことにはいっさい興味がなく (なぜなならば、その真理は私の小さな世界地図の上でしか真理ではないことを NLP ピアとして熟知しているので)、ただ、少しだけ早く NLP と出会い、徹底的考察、実験した「先発隊の同僚」として、自分が発見したことを他の人にシェアリングしているだけです。

これは、私のワークの参加者の方々に、「セラピー中毒」のような依存者になってほしくはなく、あくまでも「自分自身のセラピスト」として自立していただきたいという私の思いにも基づいています。

さらには、他の人の言葉を盲目的に信じることではなく、このような個々の人々による徹底的主観的考察を重視することは、最近のケン ウィルバー (『One Taste』) が言う「トランスレーション (置き換え)」と「トランスフォーメーション (変容)」の対比にも関連していると思います。

すなわち、セラピスト依存者は、ある問題を他の問題に置き換え (水平のトランスレーション) ているだけであるかもしれない一方で、「自分自身のセラピスト」は、たとえば、コンテントを規定しているプロセスを変えることで、永続的に変容 (垂直のトランスフォーメーション) を行い続けることができる人であると、言えるかもしれません。


6. バンドラー氏のトレーナーズ トレーニング

NLP 共同創始者のバンドラー氏のトレーナーズ トレーニングは、毎年フロリダで行われてきているようですが、来年の 3 月の同氏のトレーナーズ トレーニングには、国内から 50 名近くの NLP ピアが参加し、バンドラー氏からは、これ以上日本人の参加者の数は増やさないようにという指示もあったと、聞きました。

この日本から参加する 50 名というのは、非常に大きな数字だと思います。国内でどれだけ NLP が流行になってきているか、を示唆する指針となる数字です。

ただ、バンドラー氏は当初、米国を中心に教えられていて、その後、私の友人の英国人のマイケル ブリーンと、私の知人のポール マッケナとジョイントして、一時期英国を活動の中心とされていましたが (ところで、私は、どのようにこの三人がジョイントするようになったかの経緯を知っていますが)、 さまざまな理由から、この三人のジョイントした時点から数えて 10 年後には、ターゲット市場を日本に絞られてきているようです。

現在、バンドラー氏のトレーナーズ トレーニングに参加する人数が一番多い国民は日本人とイタリア人であるという話も非常におもしろいです。というのも、日本人は英語ができない国民であるということで有名ですが、ヨーロッパで一番英語のできない国民はイタリア人だからです。

このようにバンドラー系を通じて NLP が広まっている事実は、最近特に大ブレークしていると聞いた英国でも同じようですが、私は、個人的には、国内でも、NLP が「飽和的」に普及した後に、グリンダー系の NLP のニーズが飛躍的に高くなるであろう、と確信しています。

作成 2023/11/9