以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 42 号 (2005.10.19 刊) からの抜粋引用です。

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今回の私の徒然考ですが、北岡泰典公式ワークショップ シリーズが近い将来開始されることも告知されています。


1. グリンダー & ディルツ共同声明について

本メルマガの先号では、『緊急増刊号: グリンダー氏共同声明』と題し、NLP 業界で非常に大きな話題となるべきニュースをお伝えしましたが、一部の人々から、これらのグリンダー氏とディルツ氏の共同声明の翻訳文 (原文も含め) が少し難解だ、というフィードバックを受けました。私は、個人的には、特にグリンダー氏の共同声明は、NLP 的なものの考え方の論理性、認識論性が非常に典型的に出ていると思いましたが、このような論理的思考の訓練を受けない傾向にある日本人の方々には、「頭の痛い」文章だったかもしれません。

ですので、(これらの共同声明の重要な真意が読者の皆さんに伝わらなかった可能性もありますので) 私の公式サイトで、「グリンダー & ディルツ共同声明」という恒久的ページを作成し、この中で、2 つの声明の概要説明を計ってみましたので、興味のある方は以下のページにアクセスしてみてください。

http://www.kitaokataiten.com/archives/2005/08/communique.html


なお、この共同声明のニュースについては、たとえば、石川正樹ドットコムの石川先生は以下のように述べておられます。

「[わが社の] ハート・ネットの事業は『トレーニング・モデリング・コンサルティング』の3つから成り立っています。
その中心となる『モデリング』について、ジョン・グリンダー氏とロバート・ディルツ氏の二人の間で意見が統一されたということは、とても興味深いことです。
NLPモデリングと分析的モデリングという二つの概念が明確に定義されたということは、とても重要なポイントになります。(中略) NLP実践家の私としては、今回の共同声明は非常に重く受け止めなければならないものです。」

石川先生のコメントの全文は以下のページにあります。

http://www.ishikawamasaki.com/


2. 北岡泰典公式ワークショップ シリーズ

2 ヶ月ばかり前から「北岡泰典公式 Web サイト」を立ち上げて、私の国内での NLP トレーナー/ファシリテータとしての活動についての情報を発信してきていますが、その一環としてして、現在、「北岡泰典公式ワークショップ シリーズ」を開講し始めることを企画しています。

内容的には、必ずしも NLP に限定せずに、「40 年以上の変性意識の研究家」として私が培ってきたノウハウを、興味のもたれている限定された参加者の方々に伝授したいと思っています。ただ、私は、今現在、目的達成のための (中立の) 心理学的方法論としては NLP 以上のものを知らないので、ワークショップでは、必ず何らかの NLP 演習が実際にデモ紹介され、参加者が体験実践されるものとします。(このような「左脳的な知識を右脳に落とし込む」過程のないワークを私がすることは、ありえませんし、考えられません。)

このワークショップ シリーズは、定期的に (たとえば、週一回水曜日の夜等)、原則として都内で行うことを企画しています。参加者の需要に応じて、大阪等で非定期的に開講する可能性もあります。このワークショップ シリーズの参加者としては、以下のような人々を念頭に置いています (この分類に入らない人も、もちろん歓迎いたします。)

1. 私のメルマガの読者で、一度私がどういう人間か、会ってみることに興味のある方々 (ところで、私自身と私の教え方は、かなりユニークでおもしろいという感想ももらっています。私の生徒さんの一人は、私を「キャラクターがある」と形容されました (実は、私には、まだその意味がよくわかっていないのですが )。)

2. 私の「変性意識の研究」についての話を聞きたい、この領域について私に質問してみたいと、思っていらっしゃる方々。この領域には、催眠 (エリクソン式催眠を含む)、瞑想、「米国西海岸のヒッピーを含むカウンター カルチャーの諸実験」、現代心理療法 (ゲシュタルト、エンカウンター、プライマル、リバーシング等を含む)、トランスパーソナル心理学 (ウィルバー、グロッフ、タートを含む)、東洋的精神修行の道、芸術論 (ポップ ミュージック、ポップ カルチャーを含む)、その他 (そしてもちろん NLP) が含まれます。

3. 私のメルマガを読んだり、または知り合いの人から話を聞いて、私のワーク、特に NLP 資格コースへの参加等、には興味はあるが、実際に大きなお金を払って私の長期コースにコミットする前に、実際にじかに私のワークに触れてみたいと思っていらっしゃる方々。

4. すでに私の NLP コース/ワークに参加した人々で、「復習」の意味で再度私の講義、話に参加してみたいと思っていらっしゃる方々。

「北岡泰典公式ワークショップ シリーズ」の開催日程、場所、トピック、参加費等の詳細情報につきましては、本メルマガの次号以降、および「北岡泰典公式サイト」の「北岡泰典公式ワークショップ情報 (http://www.kitaokataiten.com/archives/2005/09/workshop.html)」ページでで告知します。乞うご期待ください。

なお、このワークショップは少人数から始めたいと思っていますが、参加申込みの混雑が予測されます。 先着申込みの方々を優先したいと思いますので、公式サイトおよび次号のメルマガの逐次チェックをお忘れないようよろしくお願いします。


3. 東京第二期マスター プラクティショナー コース終了する

先週末で、日本 NLP 学院の東京第二期マスター プラクティショナー コースが無事終了しました。卒業生は、(原則として) 計 1 年間私の NLP ワークに接したことになりますが、世界的に見ても遜色のないレベルの NLP 技能と技術を身につけられることができたのではないか、と自負しています。

卒業生の中には、グリンダーさんのプラクティショナー、マスター プラクティショナーの定義 (本メルマガの第 39 号を参照してください) と照らし合わせてみて、自分がその基準を満たしているか、心配になりました、という方もいらっしゃいましたが、私自身も、17 年前にグリンダーさんからプラクティショナー資格を取得したときも、同じような思いになったことを思い出しました。

ただ、確かに、グリンダー式およびディルツとディロージャ主催の NLP ユニバーシティ式の NLP ワークおよび資格授与のための基準は世界的にも極めて高いことは事実で、国内でプラクティショナー、マスター プラクティショナー資格を取るために一般的に適用されている基準を満たしている国内の NLP ピアで、これらの高い世界基準をパスしきれていない人々も多くいるであろう、とは推測されます。日本 NLP 学院は、これらのグローバル スタンダード (世界基準) を超える NLP スクールであることを標榜しています。

東京第二期マスター プラクティショナー コースの最終モジュールでは、1 日目には「ニュー コード NLP」関連の NLP 演習が教えられ、2 日目には、卒業査定セッションとして、各参加者に前モジュールの宿題であった新テクニック考案に関してプリゼンをしていただきました。

このことについて何点か興味深いことが判明しましたので、お伝えしたいと思いました。

まずモジュールの第一日目に関しては、NLP ユニバーシティの最近の「空間ソーティング」をともなったバージョンではなく、伝統的なバージョンでの「6 ステップ リフレーミング」演習が紹介されました。(新バージョンの「6 ステップ リフレーミング」演習は、プラクティショナー コースで教えられます。)

最近グリンダーさんが提唱している「ニュー コード NLP」では、クライアントとの無意識レベルでのコミュニケーションが重視される傾向が強いので、この演習では、特に、手順 2 において、自分の無意識とのコミュニケーション シグナルとして、意識をバイパスした、「観念動作反応」 (意識では再生できない、手の指の動きや身体的感触を通じた無意識からのメッセージ) を特定し、確立することに演習参加者にかなりの時間をかけていただいたので、演習後の質疑応答の時間に、「ああいうふうな、意識ではコントロールできない、意識が考えていることとは別のメッセージを無意識が送ることが事実であることを (右脳的体験として) 知って、非常に驚きました」という感想もありました。

また、「ニュー コード用変化フォーマット」という演習も紹介されました。この演習の手順は以下のようなものです。

1. 第三ポジションから、変化/影響させたいともう一定の行動を経験する任意の状況を選択する。

2. この想像した状況と、その状況で変化/影響させたいと思う行動を行っている自分自身についてのイメージと音を物理的にある場所に置いた後、何も変えようとはしないまま、自分自身のイメージのポジション (第一ポジション) に踏み入り、単に自分をカリブレートする。

状態分離

3. (第一ポジションで) ゲームをプレーする。すなわち、コンテントフリーの高パフォーマンス状態に入る (アルファベット ゲーム、NASA ゲーム等)。 15 分間プレーして、ゲーム内のパフォーマンスの基盤となっている回路を完全に活性化させる。

4. ゲームの終了時 (15 分後または回路が完全に活性化した時点) で、(第一ポジションの) プレーヤーは、躊躇なしに、またもっとも重要なこととして、意識的に自分の経験にいっさい影響を与えようとは試みずに、手順 2 が起こった物理的スペース、すなわち、何かを変えたいと思った想像した状況を置いた床の上の物理的スペースに戻る。


今回のモジュールでは、上記の手順 3 で「NASA ゲーム」演習を組み入れました。

演習後の参加者の感想としては、「現在の状態からどのような状態に進むのかについて、(ニュー コード NLP の方法論として) 無意識にその方向性を全面的に任せるのは、非常に不安になる」というものがありました。

私には、この感想は非常に興味深いと思いました。すなわち、本モジュールの 2 日目に各参加者にプリゼンしていただいた、自分で考案した新演習テクニックを見させていただいていると、本メルマガで何度か示唆してきているように、日本人の方々は、ある基盤となる概念 (この場合は NLP) を理解し、身に付けた後は、その概念を適用して「新しい」、洗練された技術 (この場合は新テクニック演習) を編み出すことには非常に長けていて、「オリジナリティ」を発揮できるが (そのためにこそ、戦後、特に 1964 年の東京オリンピック以降の日本はテレビ、ラジカセ、ウォークマン等の家電製品、カメラ、時計等の精密機器、コンピュータ、自動車等の分野で、西洋人が羨望するような、洗練された高レベルの製品を製造できてきたのでしょう。ところで、私は、異文化コミュニケーション コンサルタンシーの観点から 1) カスタマー サービス、と 2) 包装紙の芸術性、の 2 点が、日本人の特に優れた領域であると考えてきています)、ただ、その一方で、「自分の意識的に知っている」範囲を超えた何かに対して「身を任せる」という能力は極めて低いように感じました。

よく考えて見ると、15 世紀に新大陸を発見したイタリア人のコロンブス、17 世紀の米大陸にメイフラワー号で移住した清教徒のピルグリム ファーザーズ、19 世紀の西海岸に殺到したゴールド ラッシュの「追金者」、20 世紀初頭に飛行機を飛ばしたライト兄弟、1969 年に月面着陸したアームストロング船長等の「パイオニア精神」の伝統をもつ欧米の国々の人々にとっては、自分の求める状態が意識的に予め決定されるよりも、「Not Knowing (意識的には知らない)」状態で、自分でも予想できなかった状態を手に入れることが可能であろう、 「ニュー コード用変化フォーマット」演習は、自分自身の世界地図とかなりうまくフィットするであろうことは、想像に固くありません。

もちろん、「旧コード NLP」がより日本人のマインドにフィットし、「ニュー コード NLP」は欧米人のマインドによりフィットする、等と結論づけるのは、あまりにも時期尚早だと思いますが、にもかかわらず、この問題点は、極めて興味深いエリアだと思います。今後も私なりの考察を続けたいと思います。

作成 2023/11/8