以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 39 号 (2005.9.27 刊) からの抜粋引用です。
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私があれだけ待望していた秋の訪れを体感しつつ筆を取ります。
1. グリンダー氏トレーニング コース新メッセージ
先々号と先号のメルマガでは、2006 年以降に NLP 共同創始者ジョン グリンダー氏が日本 NLP 学院で開講する上級コースの正式開催決定ニュースに関するニュースをお届けしましたが、グリンダー氏ご本人から「NLP トレーナーズ トレーニング」と「NLP コーチング認定」の各コースに対する最新メッセージが届きましたので、以下にその和訳を掲載させていただきます。
なお、各メッセージの原文も以下の Web サイトで閲覧できます。
www.kitaokataiten.com/archives/2005/08/grinder_message.html
日本の皆さんへのご挨拶、その一 (NLP トレーナーズ トレーニング コースについて)
2006 年と 2007 年のゴールデンウィーク中に NLP共同開発者のカルメン ボスティック サンクレアと NLP 共同創始者のジョン グリンダーは、日本 NLP 学院 (北岡泰典学院長) で NLP の上級コースを開講する予定です。私たちは、このコース内容を正確に枠付けすることは有用だと考えます。このコースは、可能な最高品質の NLP 適用パターンを教えることができる準備が整ったトレーナーのグループを作り出すという明示的な目的をもった、一連の要求の厳しいコースです。このコースに参加しようと思っている人々が何を期待されているかを判断できるように、私たちは、過去のトレーニングで求められた特別な技能的必要条件とトレーナーになろうと思っている人々から何が期待されているかについて、以下のように説明させていただきます。
トレーナーズ トレーニングは、世界、特に日本の方々に紹介されている NLP のクオリティを高める特別な機会です。NLP 共同開発者と共同創始者の私たちの観点から言うと、「NLP プラクティショナー」は、NLP で行われているモデリングと他の学問分野で活用されているモデリングとを区別することができ、形態 (プロセス) と内容の差異を直感的に認識し、NLP の基本パターンにおいて行動的有能性を達成している人です。プラクティショナーは、NLP とその適用パターンについて口で語れるかもしれませんし、語れないかもしれませんが、最重要なこととして、プラクティショナーは、実際に基本的パターンを効果的に適用する能力を備えています。プラクティショナーの習得度は、さらに、首尾一貫した (NLP パターンの) 自己適用と、意識と無意識のプロセス間の正確で効果的なコミュニケーションを可能にさせる効果的な一式の自発的シグナルによっても適切に判断することができます。「NLP マスター プラクティショナー」は、NLP プラクティショナーの必要条件をすでに満たし、その上で、NLP の卓越性の基本的パターンについて知的に口で説明することができ、NLP の前身となっている分野の知的および歴史的背景について一定の理解度をもち、これらの基本的な適用パターンについて複数のバリエーションを使いこなせる人です。この、最後の特徴は特に重要です。NLP の基本的パターンについて複数のバリエーションを使いこなせるということは、マスター プラクティショナーは、基本的パターンの書面に書かれてある順序 (すなわち、手順) から自分を解放する方向に大きなステップを踏み始めたことを含蓄しています。基本的パターンを効果的に適用しているマスター プラクティショナーを見ているとき、能力のある観察者でも、そのマスター プラクティショナーが適用しているパターンを特定、分類するのはなかなか困難です。このように、マスター プラクティショナーの行動は NLP のパターン化原則に関して完全に体系的ですが、完全にクライアントの要求に焦点を合わせているので、マスター プラクティショナーは、典型的に、目的達成のために単一のパターンを使わずに、クライアントの変化する要求をカリブレートしながら、一つのパターンの局面から他のパターンの局面に優雅に正確に移ることができます。
「NLP トレーナー」は、まったく別レベルの人材です。トレーナーは、プラクティショナーとマスター プラクティショナーの項目で記述した能力すべてを備えた上で、以下の能力も達成している人です。
* プロセスと内容の重要な区別について明示的で正確な理解をもっていて、適用の場において、この区別を活用する能力を適切に身に付けている
* NLP の前身となっている分野とこれらの分野がどのように言語学、論理学、サイバネティックス、認識論、形式体系等の他の学問から派生しているかについての知的および歴史的背景を深く理解している
* 高レベルのプリゼンテーション技能能力を有している。つまり、自分が教えているパターンについての情報を効果的にパッケージ化して伝え、かつ、教えているセミナーの参加者が自発的に異議申し立てや機会を提示したとき、そのとき自分が行っていることを中断して、提示された異議申し立てや機会に対応することを効果的に決定できる能力を有している
* 成功すれば、参加者の成長に大きな進展が見られるような個人的課題をセミナーの参加者に割り当てることができる能力を有している
* 参加者が現在どのような能力を有していて、トレーニングのレベルが何であれ、パターンを習得するには次にどの課題を行うべきかを明示化できるような、明示的で明確な論理タイプのフィードバックをともなった順序が適切に構成された各演習を考案する能力を有している
* 発見手順を理解でき、これらの手順を自分のトレーニングの不可欠な部分として活用する能力を有している
* プラクティショナーとマスター プラクティショナー トレーニングで当初学習した形式から完全に自由になっていて、NLP の適用、パターン化、効果性の原則と首尾一貫する形で、即興ワークをすることができる (トレーナーは、箱から外に出たことになります)
上記の特徴は、完全記述ではありません。たとえば、プラクティショナー レベルの能力の記述には、そのレベルの最小限の一式のパターンを構成する基本的パターンのリストがありません。さらに、記述では、各レベルの認定に必要な一式のパターンについてコース参加者が実際に行動的有能性に達したかどうかを判定するために使う証拠手順が明確になっていません。これらは、プログラムの作成者にとって複雑で、魅惑的な課題であり、本メッセージの範囲を超えています。
高いレベル (マスター プラクティショナーおよびトレーナー) での認定を目指している方々に対しては、私たちは、プラクティショナー レベルでの自分の能力を再検討して、トレーナーズ トレーニングに参加する際にそのレベルの自分の能力に自信があるかどうかを判断されるよう、お勧めします。
現在、NLP には適切な資格のあるトレーナーの数がかなり欠如しています。日本でトレーナーズ トレーニングを開講する意図は、日本の方々に、NLP で可能な最高品質のトレーニングを提供することにあります。日本 (および他の国々) の市場に高レベルのトレーニングを受けたトレーナーが現れることにより、意図は適切だが、準備が貧弱な、トレーナーの肩書きをもっていても技能セットを有していない人々を超越するプロセスが始まることでしょう。
これらの高い水準を考慮して、私たちは、このトレーニングを始める当初の必要条件を満たされたかどうか、最も厳格なトレーニング スケジュールにコミットする用意があるかどうかを、入念に検討されるよう、皆さんにお願いしたいと思います。用意があるようでしたら、私たちは、皆さんを熱狂的にお迎えします。
2005 年 9 月
2006 年、2007 年度日本 NLP トレーナーズ トレーニング コース開講者
ジョン グリンダー NLP 共同創始者 | カルメン ボスティック サン クレア NLP共同開発者 |
日本の皆さんへのご挨拶、その二 (NLP コーチング認定コースについて)
2006 年のゴールデンウィーク中に NLP共同開発者のカルメン ボスティック サンクレアと NLP 共同創始者のジョン グリンダーは、日本 NLP 学院 (北岡泰典学院長) で「NLP コーチング認定」コースを開講する予定です。このコースについて追加情報をお伝えしたいと思いました。
グリンダーとボスティックが経営する Quantum Leap, Inc. 社は、過去に、NLP コーチング トレーニングと認定を英国、フランス、オーストリア、スイス、ノルウェー、その他の国々で開講してきています。
世界のどこであれ、現在提供されているコーチングのコースを調査すると、多くのコースは、外見上は適切にプリゼンされていて、プロフェッショナルに見えますが、Quantum Leap, Inc. 社が提供するコーチングを除いて、コーチングで成功するための不可欠要素が欠如していることが判明します。その差は、コーチングのプロセスの不可欠な部分であるコーチとクライアントの両方の無意識の過程を利用する明示的なパターンを認知し、統合する点にあります。コーチングの関係が意識的な過程のやり取りだけに限定された場合、コーチングの結果は、せいぜい混同したものになり、場合によっては、クライアントの目標の達成能力がコーチング ワークを始める前よりも下がってしまう、といったことも起こりかねません。一方で、Quantum Leap, Inc. コーチング セミナーが提供するパターンの首尾一貫した適用により、無意識の過程のパワーが活用され、クライアントが目標を成功裏に達成できるようになるので、典型的に、コーチングの目覚ましい結果が得られます。
ご興味がある方々、特に現在コーチングに従事している方々に、来年春日本 NLP 学院で開講される私たちの「NLP コーチング認定」コースに参加されるよう、お誘いします。
2005 年 9 月
2006 年日本 NLP コーチング認定コース開講者
ジョン グリンダー NLP 共同創始者 | カルメン ボスティック サン クレア NLP共同開発者 |
2. 東京第 5 期プラクティショナー コース始まる!
現在、来月までの予定で、東京と大阪で日本 NLP 学院のプラクティショナー コースが開講されていますが、早くも 10 月 1 日、つまり今週末から東京第 5 期プラクティショナー コースが開始されます。通常であればこのコースは 11 月から始まるべきものだったのですが、来年のゴールデン ウィークに開催されるグリンダー氏の各 NLP 上級コースの日程の影響で、1 ヶ月早めに開講されることになったものです。
特に、グリンダー氏の「NLP トレーナーズ トレーニング」コースの参加資格条件は、「原則として、日本 NLP 学院 NLP マスター プラクティショナー コース修了者に限ります」となっていますので、 時間的に言って、今回の東京第 5 期プラクティショナー コースと次回のマスター プラクティショナー コースに参加し、修了すれば、この原則的条件を満たすことができるようになります。ただし、参加条件において他団体のマスター プラクティショナー コース (あるいはそれ以上) 修了者も認められ、修了認定時の最終条件として「日本 NLP 学院のマスター プラクティショナー コース修了者に限る」とする可能性を学院事務局が検討しており、現在調整中です。
東京第 5 期プラクティショナー コース、その他の日本 NLP 学院の各コースに関する情報については以下の学院のホームページを参照してください。
http://www.nlpjapan.com/
3. 東京/大阪プラクティショナー コース最新モジュールについて
現在本学院で開講中の東京と大阪の各プラクティショナー コースの第 5 モジュールが先週末までに終了しましたが、本モジュールでは、本学院専属の外国人トレーナーであるアラスタ プレンティス氏に大部分の講義を担当していただきました。
私は、(どれだけ技能の高い場合であっても) あるトレーナーのレベルは、その人だけのワークをいくら観察していても客観的に判断することは不可能で、かならず (できれば最高レベルの) 複数のトレーナーの元で学ばないかぎり、このような客観的判断はできない、という立場を取ってきています。(ちなみに、私と親しい優秀なマネージメント コンサルタントの方は、「天才のような高レベルの同業者を何人も完全モデリング、モデリング、そしてモデリングすることによって、私は自分の技能を急速に高めることに成功しました」とおっしゃっていましたが、私はこの方の意見にまったく同意します。私自身、NLP 業界で最高レベルのトレーニングを達成していたと私が信じた NLP 四天王 (グリンダー、バンドラー、ディルツ、ディロージャの 4人です。ここにもう一人すばらしいトレーナーであると私が判断したララ ユーイングという NLP トレーナーを含ませることもできます) のワークに参加し、徹底的に、意識的、無意識的モデリングを行い、今の私のワークのスタイルが確立している、と言い切ることができます。)
このホーリスティックな「複数ポジションの確立」を本学院のコースの参加者に可能にさせるために、私は、過去にはポルトガル人のリタ ベロ女史、そして最近はスコットランド人のアラスタさんにコースの一部を担当してきていただいています。コース参加者に四天王の傾向のすべてを味わっていただくために、このような外国人講師の方々には (ディルツとディロージャが最近主催している) NLP ユニバーシティ (NLPU) の最新テクニックや (バンドラー系と言ってもいい) 直感的な催眠志向のワークを紹介してきていただいています。
今回のモジュールでは (大阪、東京とも)、アラスタさんには、彼が得意としている催眠誘導的な要素を含んだテクニックと NLPU のテクニックを紹介していただきました。(通常は、私が外国人講師の通訳を務めますが、今回は、アラスタさんは、ほとんどすべてのセッションを日本語で行われました。)
アラスタさんのワークで、特に私が興味深いと思ったのは、最近バンドラー系のトレーナーで話題になっているように思える「ネステッド ループ」を多用したストーリー テリングが非常に巧みであるということでした。(「ネステッド ループ」とは、催眠誘導等で、いろいろなストーリーを意識的に「入れ子」状態に何重にも重ねて、あるときはループをそのまま閉じないままにさせたり、あるときはずっと後で無関係のストーリーを話しているときに該当のループを閉じたりすることで、聞き手に深いトランス状態を引き起こさせるテクニックです。ちなみに、このテクニックは、バンドラーが最近開発したように見なされているようですが、実は、かなり古典的な催眠誘導テクニックで、実際、私も、1988 年当時、ロンドン市の「催眠と上級心理療法校 (SHAP)」で、クライアントを催眠誘導した後で、あるストーリーを話しているときに、ある言葉から初めて突然まったく別のストーリーに移動して小ループを作った後で、そのループを閉じた後、何もなかったかのようにループの中断が始まった該当の言葉に続く言葉を言うことで元の大ループのストーリーに戻ると、そのクライアントが催眠誘導から目覚めた際、小ループで語られた内容は完全に記憶喪失するというテクニックを学び、私も実際にこの「ネステッド ループ」を実践していました。 (たとえば、「あなたは今草原にいて風のささやきが聞こえます。それはまるでビートルズの」と言いかけた後、突然「ホワイト アルバムというアルバムがあって、それは非常に不思議な音楽でした。あなたはその音楽に陶酔しながら」と小ループを開始した後で、ある特定のメッセージを伝え、その後「確かにこのホワイト アルバムというのは最高傑作のミュージックと言っていいでしょう。ビートルズの」と小ループを閉じた後、「曲のようにも聞こえました。草原には非常に心地よい風が吹いていて、緑の色が輝いています」というふうに小ループの内容とはまったく関係のない先ほどの大ループの内容を続けた後、クライアントを催眠誘導から目覚めさせると、通常、クライアントは、小ループの内容についてはいっさい意識的な記憶を失います。)
アラスタさんは、今年の夏カリフォルニアで、催眠を使う最高の NLP トレーナーと見なされているように思えるスティーブ ギリガンのコースに参加してきたので、ギリガンのテクニックもいくつか紹介しました。それらは、NLPU の「ヒーローズ ジャーニー」テクニックにも関係する、ユング、ジョゼフ キャンベル等のワークに基づいたアーケタイプの概念とも関連づけられ、アラスタ自身が実践している合気道の要素も取り入れた「一次注意」と「二次注意」 (これらは、グリンダーとディロージャ共著の『天才になるための必要条件』にある概念で、前者は意識的注意、後者は無意識的注意を意味します) のバランスを取らせる演習に仕上がっていたので、コース参加者は、モジュールの前半部分では意識的な混乱を経験していたかもしれませんが、モジュールの終了時には、非常に深い変容の過程が各人に起こり始めていたようにも思いました。
特に心身センタリングとアーケタイプのリソースに関連した最後の演習 (ギリガン考案) は、そのコンパクトさにもかかわらず、「パターン中断」、「精神状態コントロール」、「活用」、「アンカーリング」、「3 つの選択肢」、「4Te」、「周辺視野」、「知覚ポジション」、「比喩」、その他の NLP モデルがふんだんに取り入れられた演習で、完成度が高いと思いました。
私の NLP のワーク スタイルは、志向上、意識的に催眠の要素を抑える傾向にありますが、カルロス カスタネーダ的な一次注意と二次注意のバランス、アーケタイプを活用するいわゆる「シャーマン的」なワークも取り入れた、アラスタさんが担当した今回のモジュールは、私も直接 1988 年に英国で参加した、グリンダーとディロージャが開講した「天才になるための必要条件」ワークショップのマジカルな雰囲気を思わず思い出させるような内容でした。完成度の非常に高いワークだったと言っていいと思います。
作成 2023/11/5