以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 これが本物の NLP だ!」第 15 号 (2004.5.13 刊) からの抜粋引用です。
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前回は、4 月に出版された NLP クラシック書の「Magic of NLP」の翻訳者としての私と本メルマガの発行人の方との対談が特集されましたが、今回は、引き続き同書に関連した FAQ をカバーすることにします。また、今月中旬から大阪と東京で開講される予定の英国 NLP 学院/JMA が開講するプラクティショナー コースに関連する FAQ 質問にもお答えすることにします。
1. 「Magic of NLP」関連 FAQ (頻繁に訪ねられる質問)
Q1-1: この本を読めば NLP を実際に使えるようになるのでしょうか?
A1-1: 何度か指摘してきていると思いますが、NLP には「古典コード NLP」と「新コード NLP」があり (この境目の年として 1980 年を設定していいと思います)、1980 年に出版された本書では、もちろん、その後の新しい NLP テクニック、モデルについては、カバーされていませんが、古典コード NLP の典型的テクニックの「メタ モデル」等は、この本を熟読すれば使えるようになっています。
ところで、私の NLP 原体験は、1980 年代後半のジョン グリンダーとジュディス ディロージャが開講していたワークショップの「個人的天才になるための必要条件」にあると言い切ることができます。その意味で、どうも国内では、NLP は 1975 年の創始以来今まで 30 年に渡って進化し続けていて、今後もますます進化していく学問であるというふうな理解が浸透しているようで、私がこのクラシック書を今出版したことに理解がいかない方々も小数ながらいらっしゃるようですが、ここで、以下の事実を指摘させていただきたいと思います。
(1) NLP という体系は、おそらく「古典コード NLP」としては、1975 年から 1980 年の間に、「新コード NLP」としては、グリンダーとディロージャがパートナーシップを解消した 1989 年頃までに、それぞれほぼ「完全に確立」されたもので、それ以降は、樹木の枝葉のような「NLP の応用」はあっても、幹のレベルでの「新しい NLP の革新的発見」は何らなされていない、と断言できると思います。この点については、本メルマガの第 5 号の冒頭にあるグリンダーがロンドンで行ったレクチャー内容についての私の報告を参照してください。(唯一の例外として、1990 年代後半から NLP ユニバーシティでパートナーシップを組んでいるロバート ディルツとディロージャの「新コード NLP」を継承したワークを挙げられるかもしれません。) たとえば、私は、1995 年にリチャード バンドラーの DHE のワークに実際に参加し、見ましたが、同氏の DHE ワークは、サブモダリティと催眠誘導のテクニックを組み合わせたものに還元できると感じましたし、今国内で頻繁に語られているコニリー アンドレアスの「コア トランスフォーメーション」もディルツの「神経論理レベルの整合」とほぼ同じ内容と結論付けていいと思います。(ちなみにこの「コア トランスフォーメーション」の原書の出版年はすでに 10 年も前です。また、私自身は、これらの 2 つのテクニックのどちらが先に生まれたかの正確な情報はもっていませんが、私の推測では、アンドレアスがディルツの 15 年以上前のモデルである「心身論理レベル」を「応用」し、コア トランスフォーメーションというテクニックを「開発」し、この「NLP テクニックの一部」を独自に商標登録し、その後一方でディルツがより汎用な「神経論理レベルの整合」テクニックを開発した、というのが事実に近いのではないでしょうか?)
(2) 上記の (1) に関連して、国内で NLP が知られてきた後に海外で出版された、ある意味で「枝葉末節的」な新しい NLP 書が逐次翻訳されている中で、「Magic of NLP」を含めて、「古典コード NLP」と「新コード NLP」が確立されていく過程の中で出版された、幾冊かの極めて重要な NLP 書が、国内で NLP が知られる前に出版されたという理由だけで、忘れ去られ、「その本には新しいものはない」と一蹴されているようである現在の状況は誠に嘆かわしいと思います。
(3) 私のいかなる分野での学習態度も、「できるだけルーツに近い人、事物を学べ。そこで得た学習内容を『チャンクダウン』して『潰して』使うことは可能であるが、核心から遠く離れた枝葉末節部分を学んでも、そこから『チャンクアップ』して核心に迫ることはほぼ不可能である」というもので、そのためにこそ、私は、NLP 四天王からしか NLP を学んできていません。その意味で、今後とも、「NLP ミッシング リンク」とでもいうべき、古い時代に書かれた最重要 NLP 書を (もしかしたらこのワークができるのは私しかいないであろう、という自負をもって) 逐次「発掘」して翻訳していきたいと思っています。
Q1-2: この本は NLP のクラシックにあたるようですが、NLP の新しいテクニックを学ぶにはどのような本がお勧めですか?
A1-2: いつも私が言っていることですが、NLP は「生きた学問」で、特に、「新コード NLP」の骨頂である NLP 個人編集テクニック等は、すべて、実際に、奥義秘伝を受けた瞑想の先生のような NLP トレーナーについて学ばないと、理解することも体得することもほぼ不可能です。この点は、私の NLP プラクティショナー コース東京第一期卒業生の方々から意見をいただける機会がもしあるならば、卒業生の方々は皆さん、私のこの助言に同意されると信じています。
ですので、出版されている、個人編集テクニックに関連した本は、あくまでも実際の演習の「副教材」としてのみ読むべきで、本だけ読んでわかった気になるのは、極度に危険です。この傾向は、あえて言うと、中学から大学までの英語教育の結果、読む能力だけは長けているのに、話す能力のある人を「軽視」する一方で、外人の前では何も一言も喋れない日本人の学習態度とつながったものがあると思います。(もちろん、最近の若い方々がこのような学習態度および傾向を克服されることを切に願っていますが。) 私の立場は、左脳的な論理的理解だけでは現実的にはいっさい価値がなく、また、語学を話せるだけで文章力のないような右脳的理解だけも不十分で、頭による左脳的な理解と体感記憶に基づく右脳的理解がうまく融合した状態を達成する必要がある、というものです。
(ちなみに、2002 ~ 2003 年度の TOEFL テスト結果によれば、アジア 30 ヶ国中、最高のテスト結果を収めた国民は、シンガポール、インド、パキスタンの順で、最後尾としてカンボジアが 27 位で、日本とモンゴルが同率 28 位、そして最後に北朝鮮が 30 位という、かなり嘆かわしい結果が出ています。(日本の伝統的な西洋文化の取り入れ方と現在の親米国民感情を考慮に入れた場合、この結果は私には信じられないものです。) 私は、今後 NLP を取り入れた北岡式英語学習法を日本人の方々に学んでいただいて、せめて日本人の TOEFL テスト結果がアジア 30 ヶ国中真中あたりまで上がるようになっていただきたいと心から願っています。)
Q1-3: 本メルマガ 14 号の特別対談の最後で、NLP ユニバーシティのジュディス ディロージャの、ニューギニアの、非常に興味深い、智慧ある諺として「知識は、体が覚えるまでは、噂にすぎない (Knowledge is only rumour until it is in the body.)」を引用されていますが、意味を説明してください。
A1-3: そうですね。まさしく、この諺の意味こそ、上記の A1-2 の FAQ で私が述べていることと深く関連しています。NLP の学習は、体感記憶 (「体が覚える」) として学ばれないかぎり、いっさい価値がないと (まことに残念ですが) 極言できます。
Q1-4: 二人の著者は現在、どのような活動をされていますか?
A1-4: この本の実質的な著者であるバイロン ルイス氏についての情報は、個人的には私はもっていませんが、もう一人のフランク ピューセリック氏の情報については、以下に本メルマガ 13 号から該当部分を引用します。
「本書の共著者の一人、フランク ピューセリックは、NLP 共同創始者であるグリンダーとバンドラーが 1970 年代初めに「メタモデル」というテクニック(本書で詳細に解説されています)を開発したときの重要な共同研究者で、実際のところ、NLP 界の一部 (たとえば、オーストラリアの NLP 団体、Inspiritive (www.inspiritive.com.au) 等) では、ピューセリックは、グリンダー、バンドラーとともに 3 人の NLP 創始者の一人として紹介されています。私自身、最近の電子メール交信の中で、グリンダー氏に、同氏とピューセリック氏の関係についてお伺いしましたが、同氏はグリンダー氏の友人で、現在は、ウクライナ国 (同氏の母国であると理解しています) で、コンサルティング トレーナーとして活躍されているということでした。」
Q1-5: 二人の著者に NLP を学ぶことは可能でしょうか?北岡先生はどこで NLP を教えているのでしょうか?北岡先生に NLP を学ぶことはできますか?
A1-5: この質問は、上記の A1-4 と関連していますが、お二人の著者が NLP トレーニング コースをされているかどうかの具体的な情報はもっていません。私は、現在 JMA 社を通じて国内でプラクティショーナー コースを開講してきています。東京第一期コースは 2003 年11 月から 2004 年 4月まで開講され、大阪第一期コースが 5 月 22 日から半年間、東京第 2 期コースが 5 月 29 日から半年間開講されます。その後今年の秋からマスター プラクィテショナー コースが予定されています。将来的には、トレーナーズ トレーニング コースも開講される予定です。
Q1-6: この本が NLP の発展にどのように貢献しているとお考えでしょうか?
A1-6: これも何度か示唆してきていると思いますが、この本は「古典 NLP コード」の「打ち止め」的な地位をもち、その後の「新コード NLP」を生み出す基盤となった、最重要の NLP 書の一つであると位置付けできるのではないでしょうか?
Q1-7: 本の中には「誤植があれば逐次訂正される」という意味のことが書かれていますが、どのような誤植が今までにわかっていますか?
A1-7: 誤植の「正誤表」については、以下の Web ページにその表をアップロードしています。
http://www.creativity.co.uk/creativity/jp/magic/correct/
これ以外にも、今後発見される誤植についても、上のページで紹介していくことにします。
2. プラクティショナーコース関連 FAQ
以下にあるのは、5 月中旬から始まる大阪第一期と下旬から始まる東京第二期の英国 NLP 学院 (北岡代表)/JMA 主催のプラクティショナー コースについての FAQ (頻繁に訪ねられる質問) です。
Q2-1: 英国 NLP 学院の NLP のプラクティショナーコースは海外のメジャーなプラクティショナー コースと比べ、学べる内容は遜色ないのでしょうか?学べるテクニックに違いはありますか?
A2-2: 私自身、NLP 四天王 (グリンダー、バンドラー、ディルツ、ディロージャ) の資格コースをすべて受講してきていて、彼らを「モデリング」した上でプラクティショナー コースの講習内容を決定、デザインしているので、 学べる内容には、テクニック的にも、遜色はないと自負しています。英国 NLP 学院のトレーナーであるリタ ベロさんによると、たとえば NLP ユニバーシティでは、コース参加者数が多いので、グループ演習の際に自分の番まで回ってこないことがある、ということですが、私のコースでは参加者全員が演習時に「探求者」、「ガイド」、「オブザーバ」の役割を十全に経験できるようにコースをデザインしています。また、少なくとも国内の他の NLP 団体が教えている内容はすべて私のコースで学べるようにカリキュラムを組んでいます。
また、各モジュールごとにコース参加者には、追加課題として一定量の筆記演習が課せられ、回答内容が全体な能力査定の対象となります。さらに、特に JMA の意向で、最終モジュールで参加者の実際のセッションの査定、および外部クライアントとの実践セッション等のスケジュールを組み込んで、コース参加者の実践力の向上を支援していますが、私自身、海外の NLP 団体でこのような支援をコース参加者に提供している例を知らないので、その意味では、もしかしたら私のコース修了者の実力は、海外の名の知れた団体のコース修了者よりもより優れていることが今後証明されていくかもしれません。
Q2-2: 英国 NLP 学院日本校は海外のスクールとの何かしらの提携などがあるのでしょうか?リタ ベロ講師は海外からの招聘講師ということなんでしょうか?
A2-2: リタ ベロさんは、上にも答えたように、英国 NLP 学院に所属し、私とともに修了資格書にサインするトレーナー (マスター プラクティショナー) です。彼女は、原則として、プラクティショナー コースの 6 モジュールのうち少なくとも 1 モジュールを教えることになっています。マスター プラクティショナー コースでも同様なアレンジを考えています。
現在、私は NLP 共同創始者のジョン グリンダー氏と交渉中で、今後将来的にグリンダー氏の主宰する団体と独占提携する方向で進んでいます。この関連において、グリンダー氏から以下の特別メッセージをいただきました。
「日本の皆様へ。
日本の皆さんに以下のメッセージをお伝えできることは光栄です。
約 30 年前にリチャード バンドラーと私は、次のような問いを探求する偉大なる旅を始めました。
『天才と平均的パーフォーマーの差異は何か?』および『これらの差異は再生可能か? すなわち、我々すべてにインスピレーションを与えてくれる天才のようなパフォーマンスは他の人によって学習可能か?』
私たちの研究の中で、私たちは驚くべき、エキサイティングな可能性を発見し、また、この可能性を探求する過程で NLP (神経言語プログラミング) を創始しまし た。NLP は、まさしく『天才と平均的パーフォーマーの差異を作り出す差異』に関する研究であり、多くの技能に関与していて、家族生活の改善、自己啓発、ビジネス 、スポーツ、芸術における卓越性にいたるまでの応用において著しい効果を発揮する研究分野です。創始以来 30 年あまりで、NLP は、野火のようにまたたくまに地 球の全土に渡って広まりました。
日本人の方々にとって、NLP の価値ある代弁者としての北岡泰典氏がいることは幸いなことです。私が北岡氏に最初に会ったのは 1988 年ですが、それ以来、私は、同氏の卓越性に対するコミットメントと、日本人の方々に対してこのパワフルなツールを提供したいと思っている熱意にまさに印象付けられてきています。日本人は、子供の頃から私にとって、洗練され、魅惑的な文化的特長を持った民族で、北岡氏のような価値ある代弁者を通じて、また、私自身が直接私のワークを提示する機会を持つことによって、私のライフワークの産物を日本人に伝えることが、私の最も強い願望の一つです。
「Whispering in the Wind」という最近の NLP 書 (www.nlpwhisperinginthewind.com)の著者である私とカルメン ボスティックは、できれば近い将来日本に行って、新コード NLP の最近の私たちのワークを紹介したいという強い願望を持っています。
敬具
ジョン グリンダーNLP 共同創始者Bonny Doon、 California、2004 年 5 月」
Q2-3: コースの認定基準が各団体であいまいな気がします。世界の基準を教えてください。また、英国 NLP 学院では世界基準をクリアしているのでしょうか?
A2-3: これについては、第 8 号の FAQ 12 でお答えしていますが、その回答をここに再引用します。
「NLP 創始以来、NLP 認定資格は伝統的に「プラクティショナー」、「マスター プラクティショナー」、「トレーナー」の種類が存在し (場合によっては「マスター トレーナー」も存在します)、原則的にマスター プラクティショナー以上のトレーナーが自分自身の責任で資格認定を行ってきています。(合気道の二段の人が弟子に二段を与えることができないように、マスター プラクティショナーの資格はトレーナー以上の資格の持ち主でないと与えられないのは、論理的帰結です。) 世界的に一本化された認定規格制度は存在していません。たとえば、私のプラクショナー、マスター プラクティショナー認定書は 1988 年、1989 年当時のグリンダーの主催団体の「GDA (Grinder, DeLozier & Associates)」発行ですし、私の 1995 年のトレーナー認定書はバンドラー主催の「NLP 協会 (The Society of NLP)」発行で、2002 年のトレーナー認定書はディルツとディロージャ主催の「NLP University」発行です。
私の見るところ、統一された認定制度が存在していないので、認定書はどの団体によって発行されたか、よりもむしろ、その認定書に署名した NLP トレーナーがどれだけ NLP 業界の他のトレーナーに認められているか、といった要素の方がより重要になってくると思います。 」
ですので、ある団体が世界基準をクリアしているかどうかの質問自体がなりたたないということになります。
Q2-4: より実践的な内容を期待していますが、テクニックを実際に使いこなせるようになるためにどのような制度があるのでしょうか?
A2-4: 上でも述べましたが、JMA と提携して私のコースが提供している実践セッション演習等のコース参加者への「アフターケア」は、海外の NLP 団体でも例を見ないようなユニークな支援です。また、JMA は、それ以外にも積極的にコース修了者をサポートする意向を示していますので、私のコース参加者は、少なくとも海外と比べて比較できないほどの実践的演習の場がもてると考えています。
Q2-5: コースで習得できるテクニックをすべて列挙してください。
A2-5: これについては、以下の Web ページを参照してください。
http://www.jma.jp.org/nlp/course/pra-curri.htm
Q2-6: テクニック数がずいぶんたくさんあるような気がしますが、そこまでの量を実際に教えているのですか?
A2-6: これも上で述べましたが、私の方針として、国内の他の NLP 団体が教えているプラクティショナー コースのレベルの内容はすべて私のプラクティショナー コースで学べるようにカリキュラムを組んでいますので、これほどのテクニック数になっています。東京第一期コースでも、すべて問題なく履修できたので、私としては量、質両方において、かなり自信をもっています。
作成 2023/10/12