以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 144 号 (2010.4.14 刊) からの抜粋引用です。
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今回は、「北岡新 NLP FAQ、その三十五」のトピックがカバーされています。
1) 北岡新 NLP FAQ、その三十五
A79 (144): 最近メルマガで告知されている先生の今後の方向性を見させていただくと、言葉は非常に悪いかもしれませんが、「NLP 業界を見捨てる」ことにはならないでしょうか?
Q79 (144): このような単刀直入の質問はむしろ歓迎ですね。興味深い質問です。
私の世界地図の中では、「NLP 業界を見捨てる」の表現は妥当性を欠いていると思います。
確かに、私自身、欧米で習得した「革命的」な方法論を国内の方々に「本物の形」でお伝えしたいと いう首尾一貫した思いで、過去 8 年間 NLP を教えてきていますが、仮に国内では、そういう本物は必要なく、「希釈 NLP」だけで充分という市場しかないのであれば、正直、私は、それでよろしいかと思っています。
このことに関連して、偶然、私の以前の団体の資格コース卒業生の方から以下のようなメッセージをいただきました。
「メルマガはずっと読んでなかったのですが、最近また読み始めました。
北岡先生のアプローチは、明らかにプル型だと思っていました。難解で、かつ左脳的な説明は、それ を受け入れる人のみが北岡先生のもとに集まると思います。それが商業的にいいことかどうかは別にして、日本で唯一本物のNLPを教えていると確信していま す。以前の団体から離れたのもなんとなくわかります。
おっしゃるように、多くの日本人は洗脳され好きです。先生が最近よく言及されている『自己啓発系 のファシリテータ』の書籍は、セミナー告知を見ていると、明らかに商業的宣伝で、これで集まる人が多いのでしょう。この方は、私は嫌いではありませんが、 北岡先生とは対照的だと思っています。
最近、NLPを使ったワークを周りの人に実践する機会がありました。思いのほか効果的だったのでびっくりしました。北岡先生のコースに参加したようなある レベル以上の人でないと受け付けないのかというリスクを感じながら実践したのですが、基本的なテクニックだけで結構効果がありました。
但し、自分で物事を考える習慣のない人にはなかなか効果がないのも事実です。そういう意味では、 日本人は、NLPを受け入れる土壌はあまりないのも事実でしょう。北岡先生が8年前にわざわざ日本に戻ってきてNLPを啓蒙してきていることは、素晴らし いことだと思いますが、先生が感じられているように大きな障壁もあると思います。」
この「脱 NLP 市場」の方向性の中での私の「新たな」使命は、やはり、現状では、小さな「パイ」の市場を一定数の競合団体が互いにシェアを食べあっているようにも見えま すので、私が「率先」して NLP 市場外に出て、真の意味で NLP を求められている「社会を動かしている人々」相手に「トップダウン」式の「啓蒙」ビジネスをすることにあると思います。
私をあまり知らない人々の中は、「これは、単に『敵前逃亡』的な『犬の遠吠え』ですね」と思う方 もいらっしゃるかと思いますが、実は、この路線は、1988 年にグリンダー氏から NLP を学んで以来 (少なくとも潜在的には) 首尾一貫して私が抱いてきているものなので、逆に、どこまで私の真の実力が NLP 業界の「外」の「真剣勝負」の人々に通用するか、今から気持ちがわくわくしているくらいです。
したがって、このような「トップダウン」式の国内での NLP の普及は、結果的には NLP 業界のパイのサイズの拡大にもつながると強く確信していますので、この路線を取ることで、NLP 業界への貢献にはなれ、「見捨てる」という表現はけっして当てはまらないというのが私の立場です。
たとえば、最近のメルマガでもお伝えした「北岡資格コース卒業生によるイベント」は、今後開催される予定ですが、私はこのイベントの主催者ではありませんが、このイベントが国内での NLP 普及につながるように、側面からサポートをしていくつもりです。
また、NLP 業界の底上げを目的にして、NLP/非 NLP を問わず、トレーナー/ファシリテータ/プレゼンタの技能のブラッシュアップ ワークを継続して提供していきたいと思っています。
さらに、次期のプラクティショナー コースとマスター プラクティショナー コースは、私の最後のフルタイム開催となる予定ですが、その後に、前回好評だった、「唯一日本人による開催」のトレーナーズ トレーニング コースも、「人材育成」の意味を込めて、もう一度だけフルタイム開催してみたいと思っているところです。
Q80 (144): 改めて、NLP で言う「右脳性」と「左脳性」について語っていただけますか?
A80 (144): この質問に関しても、偶然、プラクティショナー コース修了生の一人から関連質問を受けました。
思えば、本メルマガでは両脳の機能等については、言わずもがなの「前提」になっていると想定し て、左右脳に関する多くの見解を述べてきていましたが、プラクティショナー生でもまだこの脳の分担機能について不明確な方がいらっしゃるということが判明 したので、改めて本号で考察してみたいと思います。
この方の質問はいかのものでした。
「たわいもない質問なんですが、お聞きしたいと思います。
よく右脳派、左脳派という話がありますが、VAKで言うと、
右脳・・・視覚、体感覚
左脳・・・聴覚
とおおざっぱに分けることは可能なのでしょうか?」
私の回答は以下の通りです。
「ご質問の件ですが、両脳の機能と VAK には、直接的には相関関係はないと思います。
両脳の機能の定義は (最近は、否定されてきている傾向にあるのかもしれませんが)、私が訳した『Magic of NLP』で図解されていますね。」
この図解は以下のようなものです (www.creativity.co.uk/creativity/jp/magazine/images/hemispheres.gif)。
一般的には、右脳は無意識と関連していて、左脳は意識と関連しているとも言われています。
「本物の NLP」は、左脳と右脳のホーリスティック (全体的) な統合を図るもので、左脳もしくは右脳の機能のどちらかだけに偏った NLP は「似非」と形容すべきである、と最近のメルマガでも指摘させていただいています。
非常に興味深い比喩としては、たとえば最近の iPhone にも付いている衛星を使った GPS (全地球測位システム) マップ機能があります。
思うに、「アナログ」的に今実際にいる場所を探索するのが右脳的機能であり、GPS を使って、今地図上のどこにいるのかをリアルタイム的に「デジタル」に自己測定するのが左脳的機能だと言えるかと思います。
この GPS 位置測定 (= 左脳度) に関しては、ズームイン (= チャンクダウン的な詳細検討)、ズームアウト (= チャンクアップ的な俯瞰) の度合いを臨機応変に変更する必要があることも、指摘しておく価値があると思います。
左脳的機能は、右脳的体験についての「ラベリング」、「レッテル貼り」と関連していますが、
「世界地図の中で『言語化』されていないことを、右脳的機能が経験することは不可能である。」
という認識論的に最重要の事実は、本メルマガの 142 号で、欧米人にとっての風鈴の例を通じてすでに指摘していますが、再度、この点を強調しておいてもいいかと思いました。
(ちなみに、この事実は、イギリス経験論者のジョン ロックの「マインドの中に入ってくるもので、まず知覚経路を通じて入ってこないものはない」の信条も関連させて考えてみると、ひょっとしたら、誰でも「灯 台下暗し」的に左脳的に知っているつもりになっているだけの右脳的な五感の体験を「単に言語化」させることだけを通じて、NLP が行動変容に関してこれだけ驚異的な効果を挙げさせているメカニズムの謎解きが、ここに隠されている、と言えるのかもしれません。)
さらに、上記の考察の中で、私は、私が言う NLP のジュナーナ (知識) ヨガ的な要素は、もちろんのこと、左脳的機能に関連しているとして、もしかしたら、ラージャ (メンタル コントロール) ヨガ的要素は、右脳的機能に関連しているのではないかという、非常に興味深い洞察に至ったことも付言しておきたいと思いました。