以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 126 号 (2009.12.20 刊) からの抜粋引用です。
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今回は、「北岡新 NLP FAQ、その十七」のトピックがカバーされています。
1) 北岡新 NLP FAQ、その十七
Q43 (126): 今月の 22 日に「起業家支援塾」の説明会がありますが、このワークショップ シリーズについてコメントしていただけますか?
A43 (126): 私は、本年の 4 月から 6 月にかけて、「SRCF/C」をカバーした「北岡ビジネス塾初級編」ワークショップ シリーズを開講し、9 月から 10 月にかけては、無意識ワークとNEWコードNLPの技能の習得を目差した「北岡塾中級編」を開講しました。
今回、北岡が北岡塾その他の多くのワークショップを開講してきている品川区の Valvex Creative Studio (吉田光男代表) との「コラボ プロジェクト」として「起業家支援塾」を企画しました。これは、これまでの北岡塾の「発展形」という位置づけになります。
このワークショップシリーズでは、Valvex がセミナー会場等のファシリティを提供することで、独立活動を支援してきている起業家の方々の精神面を北岡がサポートすることになります。
具体的には、「起業家支援塾」では、塾生は、北岡ビジネス塾のときと同様、NLP 共同創始者のジョン グリンダー氏が最近提唱している「SRCF/C」の習得をすることができます。この「SRCF/C」とは、以下の各技能のことです。
S 状態管理 (State Control)
R ラポール (Rapport: 相手と波長を合わせること)
C カリブレーション (Calibration: 観察力のこと)
F 柔軟性 (Flexibility)
C 首尾一貫性 (Congruity)
なお、本ワークショップ シリーズでは、「四魂トレーナー」の吉田光男氏から「勇、愛、智、親、省」の日本古来伝わる「四魂一霊」のモデルの紹介と説明がなされ、北岡がこのモデルを、NLP の「SRCF/C」および「環境、行動、能力、信念、アイデンティティ」の5つの「心身論理レベル」モデルの観点から分析します。
さらに、これら五つの要素の一つ一つに関して、その技能を高めることができる実際の NLP 演習が紹介され、実演演習されます。
本イベントの日程を含む詳細情報と 22 日の説明会の詳細については、以下の「4 – A) 起業家支援塾最新情報と説明会について」の項目もしくは以下の紹介ページを参照してください。
http://www.kitaokataiten.com/kitaoka_juku/
Q44 (126): 「個人編集テクニック」について改めて説明していただけますか?
A44 (126): そうですね、先号のメルマガでも書かせていただきましたが、今回のプラクティショナー コースでは、今まで以上にますます「内容の濃い」ワークが開講できている印象がありますが、そのコース参加者から私の言う「個人編集テクニック」 「(PET、Personal Editing Techniques」) の特徴についての説明を求められ、私が回答しましたので、本誌でも紹介させていただきます。
まず第一に、個人編集テクニック (= 「個人的な行動パターンを自分の求める形になるように編集する NLP テクニック」) の説明として、本メルマガの第77号に、私は以下のように書かせていただいています。
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「個人編集テクニックの四大機能」 [は]、以下のような図式となります。(このピクチャーファイルはインターネット上 (www.creativity.co.uk/creativity/jp/magazine/images/pet_func.jpg) にアップロードされています。)
この図解の意味は、私がプラクティショナー コースで約 40 個、マスター プラクティショナー コースでさらに約 40 個教える「個人編集テクニック」 (「個人の既存の行動/思考パターンを編集して、自分が求める行動/思考パターンを作り出す」ための NLP テクニック演習という意味です) には、以下の四大機能がある、ということです。(これらの機能の個々の説明については、現在 Web 上で公開されている旧バー ジョン「これが本物のNLPだ!」 (全 17 号) を参照してください。)
1) アンカーリング
2) リフレーミング
3) TOTE
4) サブモダリティ
このうち、アンカーリングとサブモダリティに関しては、単体の個人編集テクニック演習が存在していますが、リフレーミングと TOTE に関しては、(一方の人が言う言質に対してもう一人の人がその言質をリフレームするという、ごく簡単な演習を例外として) 単体の個人編集演習はなく、単なる機能説明としての概念です。
この図解の意味あいは、個人編集テクニック演習を行うと、 アンカーリング、リフレーミング、TOTE、サブモダリティのプロセスがすべて見事に (場合によっては劇的に) 変化する、ということです。
また、非常に興味深い点は、これらの 4 つの「足」 (私は、これらを「弾力性のある伸縮ゴム」と呼んでいますが) のうちの任意の一つだけを (引っ張って) 変化させても、あとの 3 つがすべて自動的に (引っ張られて) 変化するという点です。(たとえば、アンカーリングのプロセスを変化させると、残りのリフレーミング、TOTE、サブモダリティの三つのプロセスも、即、自動的に変化します。)
このように個人編集テクニックを捉えることは、NLP の全体像をもつことを促進することは間違いありません。
なお、 この図解モデルは、私独自のアイデアです。
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以上の「個人編集テクニックの四大機能」 の図についてですが、今回のコースで各機能の英語の名称の頭文字をピックアップしていると、以下のような興味深い図ができあがりました。
ということで、今後、私は「個人編集テクニックの四大機能」を意味するものとして、この「ARTS モデル」を提唱していくことにします。
二番目として、ある参加者から私の教える「個人編集テクニック」 (最近、私は、プラクティショナー コースで 44 個の個人編集テクニックを教え、マスター プラクティショナー コースで 44 個、全体で 88 個のテクニックを教えると言っています) 全体に共通する特徴の定義を求められました。
これらの特徴は、以下のとおりです。
1) 北岡の教える個人編集テクニックは、すべて、一度実際に演習する必要があるが、その後は、自分一人で自己適用できる。(ただ、グリンダー氏は、同氏の開発したNEWコードNLPの演習は、第三者のコーチが必要であることに固執しています。)
2) いわゆる人為的な状況で演習される個人編集テクニックで獲得された新しい行動パターンは、すべて、外界の「現場」 (「娑婆」) に戻ったとき、自動的に起動される。
3) 個人編集テクニックで獲得された新行動パターンの起動のされ方には、以下の二通りがある。
A) 個人編集の対象となった状況を過去の記憶として思い出すとき、否定的な状況がなかなか思い出せない。
B) 個人編集の対象となった状況と似た状況に実際に入ったとき、新行動パターンが自動的に起動される。
上記の二つのことが可能なのは、無意識は現実と虚構を区別できないからです。
なお、以上の 3 点の特徴は、すべての個人編集テクニックに「例外なく」適用されます。
三番目として、個人編集テクニックでマーキングとして使う「スペーシャル ソーティング (空間並び替え)」のための付箋紙の使用について、非常に興味のある議論が交わされました。
すなわち、私が、「場合によっては、個人編集テクニックを行っても、『何の変化もありません』ということに固執されるクライアントの方もいますが、この方は、もしかしかしたら、『今、床に置いている付箋紙の位置を後 5mm 動かしたいのですが、動かしてもいいですか』と言う場合があるかもしれません。このときは、まったく何の変化も体験できなかったこの特定のクライアントにとっては、この 5mm の差は『天と地』を分けるくらいの価値があるので、私であれば、『こんなおいしい餌』に食いつかないわけはなく、即座に自分のワークの中に『活用』しますが、『別に動かさなくてもいいですよ』等と言って、まったく繊細さを欠いた対応をする NLP ファシリテータもいると思います」と指摘させていただいたとき、一部のコース参加者から「NLP がそこまで繊細な注意を払っていることを知って安心しました」という発言をいただきました。
本来の NLP であれば、以上のような配慮は当然のことですね。一方では、「座学の NLP」しか知らないトレーナーにはこのような対応は思いつくこともできないと思います。
言い換えれば、このような繊細さは、クライアントの無意識を扱うべき NLP トレーナーが身につけておく必要のある最低限の技能だと私は考えていますが、上記のようなコース参加者からの感想があることを鑑みると、市場にはこのような最低限の繊細さをも欠いたトレーナーが数多くいるように思われます。