以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 112 号 (2009.8.15 刊) からの抜粋引用です。

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今回は、「北岡新 NLP FAQ、その三」のトピックがカバーされています。


1) 北岡新 NLP FAQ、その三

A9 (112): NLP インテグラル アソシエーションのトレーナーズ トレーニング コースについて説明してください。

Q9 (112): NLP インテグラル アソシエーションは、最近設立された株式会社オフィス北岡と椎名ストレスケア研究所株式会社が共同運営する NLP 資格コース開催団体です。旧名は日本 NLP 協会ですが、私は、現在、この名前で稼動している団体とは関係がありません。

この NLP インテグラル アソシエーションが主催する NLP トレーナーズ トレーニング コースが 9 月 5 日より開講されます。

このコースは、実質上、唯一の日本人開催のトレーナーズ トレーニング コースです。

このコースの詳細、修了者の恩典 (「フランシャイズ制度」)を含む 等については、以下のページを参照してください。

http://www.jnlpa.jp/nlp_8.php

このフランチャイズ制度は、私自身の資格コース参加者 (すなわち、他の NLP 系列団体に属していない NLP ピア) で、将来ご自身で資格コースを開催したい方々のためにNLP インテグラル アソシエーションが特別に用意した制度で、もちろん、私のトレーナーズトレーニング コース修了生「全員」にフランチャイズ契約もしくは他の活動制限を強要するものではありません。

本コースの本来の意図は、「有能な NLPプレゼンター」になるための最高の技能が習得できる場を提供することにあります。

このため、すでに他の系列団体に属していて認定ビジネスを行っている方々には、技能の「ブラッシュアップ」の場が提供されることになるだけで、コース修了後に、既存の系列団体と契約をし続けるかどうか、もしくはNLP インテグラル アソシエーションとフランシャイズ契約を結ぶかどうかは、ご本人が自由に決定できます。

つきましては、特に他団体の上級コース修了者で、北岡にまだ会ったことのない方々のための「北岡ワーク特別説明会」が開講されています。8 月 3 日に一回開催されましたが、再度8月25日(火)に開催されます。

北岡の過去の資格コース修了者で、トレーナーズ トレーニング コース参加に興味のある方々も歓迎いたします。

この説明会参加者の特典としては、「早期割引制度」等の優遇適用を考慮させていただきます。

【説明会概要】

日時: 8月25日(火) 19:00-21:00    
ガイド: 北岡泰典
会場: Valvex Creative Studio
〒140-0004
東京都品川区南品川6丁目12-21Valvex地下1階
TEL:03-6718-4255 FAX:03-6680-5124
http://www.valvex-co.jp/access.html
参加費: 3,000 円 (説明会後のプチ懇親会参加費込み)
定員: 15 名注意1:この説明会の後に、プチ懇親会の場が設けられます。
注意2:この説明会参加者の特典として、「早期割引制度」等の優遇適用を考慮させていただきます。
注意3:「他団体の NLP コース修了者で、北岡にまだ会ったことのない方々」という条件が見たされれば、必ずしも、トレーナーズ トレーニング コースに興味のない方も歓迎いたします。参加に興味のある方は、以下のページの申込フォームから申し込んでください。

http://www.kitaokataiten.com/kitaoka_work/intro.htm


A10 (112):
先生は昔から心理学に興味があったのですか?

Q10 (112): そうですね、大学時代、私は、マルセル プルーストの「失われた時を求めて」的に過去だけに興味ある人間で、フロイト的な精神分析に非常に興味があり、当時、岸田秀の『ものぐさ精神分析』等に影響を受けていましたね。

高校時代は「アナーキー」な方向性をもっていたため、フロイトに限界性があると直感的に思い始めた後は、フロイト、ユングについでもっとも重要な精神分析家とされていたウィリアム ライヒを研究し始めました。

当時、私は飯田橋の日仏学院に通いながらフランス語を学んでいましたが、この女性教師の一人がかなり過激な「ウーマンズリブ」主義者、「性解放論者」で、彼女もライヒの『性革命』を絶賛していました。(ちなみに、『性革命』は、現在は絶版ですが、当時は角川文庫から訳本が出版されていました。)

大学卒と同時に私はサハラ砂漠に行きましたが、砂漠で、ライヒの本を何冊かフランス語訳で読みました。

このとき、フロイトからユングに向かわずに、ライヒに向かった事実は、今思うと非常に興味深いです。というのも、フロイト、ユング、ライヒの中で、もっとも「オカルト」的で、「錬金術」の伝統も受け継いでいるように見えるのはユングだからです。

1983 年にアメリカ西海岸のコミューンでインド人導師に弟子入りしてからは、私の興味は、ライヒから現代西洋心理療法一般に移りました。

このコミューンで、私は、「脱催眠療法」という 7 ヶ月間 (2,100 時間) コースに参加しましたが、このコースは、ゲシュタルト療法、交流分析 (TA)、ヒューマニスティック サイコロジー、エンカウンタ、プライマル、サイコシンセシス、エスト、リバーシング、誘導ファンタジー、催眠療法、前世療法、ペンデュラム、ロルフィング (ライヒ式マッサージ)、リバランシング、アリカ エクササイズ、アイソレーション タンク、プラーナヤマ、禅式瞑想、ヴィパサナ瞑想、チャクラ オープニング、インテンシブ エンライトンメント、その他ほぼすべての現代西洋心理療法学派および東洋瞑想の方法論を網羅していました。

このコースの最中に他の参加者から「ここで学んでいる方法論は、最近生まれた NLP に比べると、幼稚園の遊戯ですよ」と言われ、私は、彼の言葉を信じることはできませんでしたが、それから 3 年後、英国で NLP 共同創始者のジョン グリンダー氏のワークショップに衝撃を受け、実際に彼の言質が正しいことが確認され、その後、すべての心理療法を超越する方法論として NLP を学び、教えてきていることは、本メルマガや私のワークで、何度も言及してきているところです。

ちなみに、私は、1980 年代初めにパリで「エスト (est (Erhard Seminars Training)、Werner Erhard 設立)」の合宿コースと言われているものに参加したことがあります。10 日間の合宿でしたが、最終日には参加者が車座になり、その一人の女性が皆の前で「小水」をする、といった極めて過激なものでした。

たしかに、プライマルやエンカウンタも (西洋では) 参加者がお互いに殴りあったり (仮に死者が出たとしても不思議ではないですね)、非常に過激なセラピーがはやっていましたが、このエスト ワークショップを受けて、個人的には「これはもはや『何でもあり』の世界で、セラピーという名前を借りただけのものであり、本来のセラピーからは逸脱している」と思った記憶があります。(当時、さまざまな実験の後、西洋心理療法が「何でもあり」の方向に行ってしまうのは無理からぬ動きだったのかもしれません。)

この辺の「セラピーに対する失望」が、後に私を NLP に向かわせた大きな一因になっているかもしれない、と思える嫌いがあります。

ところで、私自身の理解では、エストから「フォーラム」とか「ランドマーク」といった組織が派生しましたが、これらの影響を受けたのが、1980 年代に国内で自己啓発セミナーを行っていた「ライフダイナミックス」だと聞いています (当時私は、日本にいなかったので、このことについて直接的な情報は持ち合わせていません)。

この団体は、催眠商法に基づいたセミナーを開き、ネガティブな評価を受け、このため、現在でも、「自己啓発」という言葉が日本ではいい響きがしていない、と聞いています。

国内最大手の一つである NLP 団体の代表もライフダイナミックスから派生していて、「会員勧誘」等に関してその手法を使っていると聞いていますし、最近私が関与しているメキキという会の No.1 と No.2 の方々も元ライフダイナミックス系の団体の幹部だった、と聞いています。

ライフダイナミックス系の「強引な方法」は、私の今の理解では、「選択理論」に関連しているように思えます。

選択理論とは、たとえば、子供が親にセラピーに「むりやり」連れられてきた場合、本人の意識はいやいやでも、実際に自分の体が来ているわけだから、それは子供の「選択」で、本人の内的コントロールの範疇に入る、という考え方です。

この点については、NLP 的に言って、この子供は、その (たとえば日本という) 文化圏にいて、集合的無意識の影響も受けた上で、一定の行動しているので、この子供は、確かに「意識的」には主体的、選択的判断をしているかもしれないが、その子供の無意識は、その意識的判断と矛盾した判断をしている場合もあり、この観点から言えば、私は、選択理論では、その無意識的な要素を考慮しないことに、限界性があるのではないか、と見ています。

つまり、私には、選択理論では、意識と無意識の間に葛藤がある場合、「本人の意識と無意識の間に欠如しているラポール」を形成して、本人が「ホリスティック・全体的」になる必要がある、といった NLP 的な見方はできない、と思われます。

以上が、私の NLP 以前の心理学に対する興味についてでした。


A11 (112): 柔軟性と妥協の違いは何ですか?

Q11 (112): この質問は、興味深いですね。

まず、柔軟性についてですが、これは、グリンダー氏の言質によれば、

「人間は、(瞬間瞬間において) 三つ以上の選択肢をもてたときに、初めて自由になれる」

ということになっています。さらに、同氏によれば、

「一つだけの選択肢をもっていると、人間は『どんづまり』に陥り、二つの選択肢をもつと、『葛藤』に陥る。三つ選択肢をもつと、二つの選択肢の間で葛藤に入っても、常に、三番目の選択肢に逃げられる。」

この言質は、非常に興味深いと思います。

さらに、私が訳したジョニー ラボード著の『魔法の心理学』では、「巧みな操作」と「誠実な影響」の違いが述べられていて、自分と相手の目的がある場合、前者は「相手の目的を無視して自分の目的を相手に押しつけること」で、後者は「相手と自分の目的を刷り合わせして、より高次の目的を見つけ、そこに相手と自分自身を誘導すること」となっています。

この意味では、「巧みな操作」は、同次元の二つの要素の間を揺れ動く「葛藤」と関連していますし、「誠実な影響」は、同次元の二つの要素を「止揚」して、より高次な要素を見つけようとする「柔軟性」と関連しています。

最後に、「妥協」についてですが、これも、私には、柔軟性がない、二律背反の二つの要素の間を行き来することに関連しているように思え、二つの要素のいずれかを選択することのように思えます。


A12 (112): 先生の言う変性意識と顕在意識の関係について述べてください。

Q12 (112): まず、NLP では、「顕在意識」は使わず、「意識」に含めます。また、「潜在意識」は「無意識」に含めます。

このため、NLP では、「意識」と「無意識」の用語しか使わないシンプルな形になっています。

また、ある本では、「潜在意識」という用語を使うのはフロイト派で、「無意識」という用語を使うのはユング派である、とありました。この意味では、NLP はユング派ということになります。

このため、質問の「変性意識と顕在意識の関係」は、「変性意識と意識の関係」と言い換える必要があります。

「変性意識」とは、「ある人が通常使う意識状態とは性質が異なっている意識状態」ということになるので、意識も変性意識も (無意識ではない) 「意識的意識状態」ということになります。

変性意識と顕在意識の関係は、単純化すると、本メルマガの第 50 号でも示されている、以下の図のようになります。

ここでいう「通常意識」が、質問の「意識」に対応しています。

作成 2024/1/17