以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 108 号 (2009.6.21 刊) からの抜粋引用です。
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今回は、「変性意識の定義、その二」、「北岡トレーナーズトレーニング コースについて」、「北岡の最上級資格コースについて」のトピックがカバーされています。
1) 「変性意識」の定義、その二
本メルマガの先号で、私は、「催眠 (=変性意識) の定義」について述べ、「数多くの個別の分野で、人間の脳メカニズムについてのほぼ同じプロセスがこれほど多くの別々の名前で提唱されてきている」ことを指摘し、それらの名称として 20 個以上の定義語を挙げました。
これらの定義語は、主として、「人間バイオコンピュータのプログラミング」としての「アンカーリング」もしくは (私には最も適切な定義語に思える) 「SDMLB (状態依存の記憶/学習/行動)」の「プロセス」 (または「メカニズム」)を定義するものでした。
本号では、その「続編」として、この変性意識の「状態」を定義する用語について検証してみたいと思います。
まず、明らかに「変性意識状態」という語が念頭に浮かびます。この用語は、英語では、「Altered Sates of Consciousness (意識が変質した状態)」と言われるものです。
この語から、ケン ラッセルが監督し、ウィリアム ハートが主演した 1979 年製作の「アルタード ステーツ」の映画が思い起こされます。この映画の主人公は、イルカとのコミュニケーション、LSD、「アイソレーション タンク」 (知覚遮断を引き起こす隔離水槽) 等の研究で有名なジョン リリーがモデルになっていると言われています。(ジョン リリーと「NLP の父」の一人であるグレゴリー ベイツンとは実際の交流がありました。)
さらに、1969 年にチャールズ タートが編者として著した「Altered Sates of Consciousness」という大著が想起されます。大麻と変性意識の研究家でもあるタートは、私がトランスパーソナル心理学者の重鎮と見なしている三人の一人です。(もう二人の重鎮は、インド哲学、特にヴェーダンタ心理学と現代西洋心理学のマッピングを行ったケン ウィルバー、および「LSD と心理療法」で有名で、国際トランスパーソナル学会の初代会長であったスタニスラフ グロフです。)
この三人その他の学者が提唱している「トランスパーソナル心理学」は「超個 (= 個人を超えた) 心理学」と訳されていますが、この「超個状態」も「変性意識状態」と等価と言えます。
(ちなみに、もし仮に私が 1980 年代に NLP と出会っていなければ、間違いなく、私はその後、トランスパーソナル心理学者になっていたであろうという強い思いがあります。)
さらに、トランスパーソナル心理学者として、「プロセス志向心理学」 (現在は、「プロセスワーク」とも呼ばれているようです) を創始したアーノルド ミンデルという学者がいます。
実は、私は、本年 5 月初めのゴールデン ウィーク中に来日されたミンデル夫妻の三日間ワークショップ (「仏陀と量子の劇場」) に出席しました。
ミンデル氏のワークに直接触れるのはこれが初めてでしたが、カルロス カスタネーダの「ドンファンの教え」のドリーミング手法に影響を受けている同氏は非常に触発的なモデル群を提唱していると思いました。
ミンデル氏の言う「ドリーミングボディ」は「変性意識状態」に匹敵するでしょうし、同氏のモデルの核心になっているように思われる「プロセス マインド」は、最近のグリンダー氏の「ノーナッシング ステート」ともかなり重複すると思いました。
ミンデル氏のワークショップの最後の時間に同氏自身と短時間会話をもつことができましたが、「グリンダーともバンドラーとも実際には会ったことはないが、私は大分以前、初期の頃 NLP に多大な影響を受けた」ということでした。
同氏によれば、ラポールの技術等は「ハード (目に見える?) スキル」であり、プロセス マインドは「ソフト (目に見えない) スキル」ですが、NLP はそういう意味ではハードスキルに「過ぎない」と思われます。
私は、「レモンの味を知らない人に、いくら NLP を学ばせても、レモンの味を味あわせることはできない」というスタンスを首尾一貫して取り続けてきていますが、その意味で、ソフトスキルとしての「プロセス マインド」等の状態は、NLP 学習以前の段階で、試行錯誤を重ねて自己習得しておく必要があると思います。
このソフトスキルの習得なしに、「NLP の資格」 (これも、ハードスキルと言えるでしょう) だけを取得しても、今現在 NLP 業界全体で起こっている、「資格をもっているが、教えられない」トレーナーや、いくらすばらしい NLP テクニックを学んでも「どのようにそのテクニックを現実生活に落とし込んでいいかわからない」 NLP 実践家が増え続けている、といった状況が生み出されていくだけだと、私には思えてなりません。
ミンデル ワークショップで紹介されたミンデル ワーク演習は「量子の劇場とシャーマンのドラム」と呼ばれるシャーマニズム/ドリームボディ関連の演習でした。ちなみに、一つのパターンの演習を、一日目は個人向け、二日目はカップル向け、三日目は集団向けに拡大適用していたのは、一つの演習の落とし込み方法として参考になったは一方で、極めて「経済的」なワーク プリゼン法だなとも思いました。
この「量子の劇場とシャーマンのドラム」演習は、私には極めて興味深かったので、現在開講中の私のマスター プラクティショナー コースの第四モジュールが先週末に開催されたので、そのモジュールで応用紹介させていただきましたが、ほぼ全員の参加者に極めて深い「変性意識状態」が引き起こされているようでした。
この第四モジュールは、深い催眠を引き起こすワークのモジュールで、その一環として「DTI (ディープ トランス アイデンティフィケーション)」というテクニックも紹介させていただきました。
このテクニックは、もともとはスティーブ ギリガンが開発したテクニックであると理解していますが、深いトランスの中で、ある人のマナリズム (外面的行動様式) と自己同一化することで、その人を無意識的に「完全モデリング」する技法です。
非常に世俗的な表現をすると、ある人の「霊」を自分の中に呼び込んで、その人になりきって行動し、しゃべる「チャネリング」技法であると理解することも可能です。ただし、DTI の場合は、自分の中に呼び込みたくないものをフィルタリングする手順も事前に組み込まれていて、かつ、自分が誰を呼び込みたいか、何を知りたいか、についてのフレーミングがはっきりしているので、私は、このテクニックはかなり科学的で、かつ危険性は極めて低いと見ています。
今回グループでの DTI 演習では、中には、エジプトの王妃、戦国武士、有名な宗教上の指導者等が「降りて」きていたようで、これまでの過去の私のコース同様、皆さん非常に興味深い体験をもたれていたようでした。
変性意識状態の他の定義としては、ユングの言う「アーキタイプ (元型)」、「コンプレックス」、「集合的無意識」との「接触の場」として彼が提唱したように思える「アクティブ イマジネーション」、(ユダヤ密教のカバラの言う) 「アストラル プロジェクション」、モンロー研究所のヘミシンク技法で達成されるという「幽体離脱」状態、催眠で言う「入眠時状態」および「出眠時状態」、さらには、催眠状態や瞑想状態そのものが挙げられると思います。
以上のように、「変性意識」というプロセスを定義する用語がたくさんあったように、「変性意識状態」を定義する用語も数多く存在します。
私の今後のワークの焦点は、ハードスキルとしての NLP ワークではなく、ソフトスキルとしての変性意識状態をいかに恒常的に生成できるかのモデルと手法の開発に移っていくと思われます。
この私の方向性は、今までの NLP 業界内での資格ビジネスから、新会社を通じた NLP 業界外への私の変性意識ワークを提供するビジネスに移行している事実と呼応してもいます。
2) 北岡トレーナーズトレーニング コースについて
北岡泰典のメルマガその他で告知されてきているように、「NLP トレーナーズ トレーナー」としての北岡が開催する「トレーナーズ トレーニング コース」 (NLP インテグラル アソシエーション主催) が 9 月 5 日より 2010 年 1 月まで 開講されます。詳細は以下の通りです。
なお、本コースは、唯一の日本人開催の NLP トレーナーズ トレーニング コースです。
【開催概要】
スケジュール: 2009年9月5日(土)、6日(日)、12日(土)、13日(日)、
10月3日(土)、4日(日)
2010年1月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
*上記日程の10日間の講義のほかに、NLPプラクティ
ショナーコースを4日間聴講が可能です。
*日程その他の条件が変更する場合もあります。予めご了承
ください。
講 師 : NLP トレーナーズ トレーナー 北岡 泰典
受 講 料 : 通常価格 1,000,000円 会員価格 950,000円
割 引 : 早期割引 60日前までにお振込みの方 50,000円ディスカウント
定 員 : 20名
実施会場 : 東京都中野区中野サンプラザ (一部の日程は別会場)
参加資格 : NLPマスタープラクティショナーの資格をお持ちの方(どちらの団
体で取得したものでもかまいません)。
本コースへの編入者 (すでに他団体でトレーナーズ トレーニン
グ コースを学ばれた方) については、参加費割引制度があり
ます。詳しくはNLPインテグラルアソシエーションにお問い
合わせください。
修了者にはNLPインテグラルアソシエーションNLPトレーナー
認定証を発行いたします。
本トレーナーズ トレーニング コースの主意は、「NLP の真のパワーがまだ欧米ほど社会全体に浸透していない国内において、NLP 四天王すべてを完全モデリングして、凝縮した形で NLP のエッセンスを国内のNLP業界に伝えてきているトレーナーズ トレーナーである北岡泰典が、NLP トレーナーが一本立ちするために必要な基本プリゼンテーションを伝授することで、コース修了者が NLP 業界で『本物の NLP』を教えていけるノウハウを授ける」ことにあります。
さらに、コース修了者には、主にバンドラー派、グリンダー派、ディルツ派が乱立しているように見える現在の国内の NLP 市場において、これらの派閥を止揚統合する形での「統合的 NLP」を教えることができる唯一の NLP 団体の認定コースを開催する権利が与えられることになります。
基本的には、北岡が過去に開催したプラクティショナーおよびマスター プラクティショナー コースの修了生を対象としていますが、北岡の「国内の NLP トレーナーのレベルを底上げしたい」という思いが極めて強いので、他団体のマスター プラクティショナー コース以上の修了生も歓迎いたします。(なお、すでに他団体でトレーナーズ トレーニング コースを学ばれた方には、参加費割引制度があります。) 他団体のマスター プラクティショナー修了生の方々が北岡のトレーナーズ トレーニングコースを修了される場合は、修了後に、必要に応じて、北岡のプラクティショナーおよびマスター プラクティショナー コース内容を教わる (グループもしくはプライベート) 「補講ワークショップ」を受講できる体制も整えられています。
本トレーナーズ トレーニング コースの特徴をさらにお伝えします。
* 本コースの認定を受けられた修了生は、NLP インテグラル アソシエーション認定
のプラクティショナーおよびマスター プラクティショナー コースを開催する権
利を取得します。
* この認定は、NLP インテグラル アソシエーションのフランチャイズ システムに基
づくものとします。
* このフランチャイズ権には、以下の恩典が含まれるものとします。
1) NLP インテグラル アソシエーション認定コース (プラクティショナーおよびマスタ ー
プラクティショナー コース) の開催権
2) 認定コースの (アソシエーション提供の) テキスト教材使用権
3) コース運営マニュアルの提供
4) 北岡ブランドの活用 (北岡の推薦を含む)
5) NLP インテグラル アソシエーションと北岡のメディアを通じた告知
6) コース修了後のメーリング リスト等を通じた NLP 最新情報の提供
7) フォローアップ トレーニングを受講する権利
8) NLP インテグラル アソシエーション開催コースへの無料参加権
9) 北岡の商品 (ビデオ商品その他) の販売権
* 以上の恩典は、一定の%のフランチャイズ フィーを支払うことを条件として、コー
ス修了者に与えられることになります。
* 今回のトレーナーズ トレーニング コース参加費のお支払いに関しては、現在、分
割払いが可能になるような方法を調整中です。
3) 北岡の最上級資格コースについて
上記で、 私は、「ラポールの技術等は『ハード (目に見える?) スキル』であり、プロセス マインドは『ソフト (目に見えない) スキル』ですが、NLP はそういう意味ではハードスキルに『過ぎない』と思われます。」
「私は、『レモンの味を知らない人に、いくら NLP を学ばせても、レモンの味を味あわせることはできない』というスタンスを首尾一貫して取り続けてきていますが、その意味で、ソフトスキルとしての『プロセス マインド』等の状態は、NLP 学習以前の段階で、試行錯誤を重ねて自己習得しておく必要があると思います。」
「このソフトスキルの習得なしに、『NLP の資格』 (これも、ハードスキルと言えるでしょう) だけを取得しても、今現在 NLP 業界全体で起こっている、『資格をもっているが、教えられない』トレーナーや、いくらすばらしい NLP テクニックを学んでも『どのようにそのテクニックを現実生活に落とし込んでいいかわからない』 NLP 実践家が増え続けている、といった状況が生み出されていくだけだと、私には思えてなりません。」
「私の今後のワークの焦点は、ハードスキルとしての NLP ワークではなく、ソフトスキルとしての変性意識状態をいかに恒常的に生成できるかのモデルと手法の開発に移っていくと思われます。」
「この私の方向性は、今までの NLP 業界内での資格ビジネスから、新会社を通じた NLP 業界外への私の変性意識ワークを提供するビジネスに移行している事実と呼応しています。」
等と書きましたが、この意味で、私は、現在、NLP 資格コースの上位レベルに位置すべきものとして、私独自の資格コースの開催を企画しています。
これは、私自身、「レモン」 (ここでは、「究極の変性意識状態」の意味です) の味を知らない人がいくら NLP 技法を習得しても、技法と資格は授けることはできても、人間性、態度、究極の柔軟性等を人に教えることは不可能であると、私が思っているからです。
私自身、NLP を学ぶ以前に、インド人導師等に実際について、瞑想、セラピー、催眠、化学的に誘発された変性状態、その他の実際の体験を試行錯誤的にもちながら、恒常的に、首尾一貫して「自分のボックスから外に出る」訓練をしてきていましたが、そして、2002 年に帰国してからは、NLP 以前の「コンテンツ志向」のワークはほぼいっさい「封印」して、コンテンツフリーの NLP 技法だけを教えてきていましたが、それだけでは、ボックスの中に入っている人間 (特にボックスの中だけにとどまるように教育を受けてきているように思える日本人の方々) を外に出すことには必ずしもつながらない、ということが判明してきていますので、この北岡最上級コースでは、「NLP 以外の方法」も広範囲に実地に教えられることになります。
具体的には、パートタイムで、たとえば、4 年制のスクールのような形式を考えています。(これは、今までにも何度か言及してきている「北岡塾」構想に密接に関係しています。)
このスクールの卒業生は、理想的には、ありとあらゆるボックスから出た形で、思考、行動できる人材としての技能を備えていて、このため、どのような状況にいても、他人に対して常に、自由自在に自分自身のフレーミング (文脈づけ) ができる人材です。言い換えれば、「センタリング」ができている人、どんなことがあっても「決してぶれない」人のことですが、このような人は、たとえば、ビジネス界において、リーダーシップとカリスマを備えていると見なされる人に対応することは、私には明らかのように思えます。
さらには、このような人材を国内で養成しないかぎり、私には、(いつも私が主張しているように、団塊の世代の負の遺産として残されてきている) 60 万人のニート族をなくすことは不可能のようにも思えます。
なお、まったくの偶然なのですが、このメルマガの草稿を執筆しているときに、ある方から、現在ワークショップ レンタル会場の新設を考えているが、その「管理者」になることに興味はないかという打診を受けました。
私自身、英国ロンドンには、(たとえば The East West Center のように) 小学校の廃屋全体が自己啓発や精神世界系等の複数の団体のオフィスと会場または道場として使われている例がありますが、国内あるいは都内には、そういう業界に特化したワークショップおよびセッション会場は極めて少ないと思ってきていますが、もし仮に私がそういう会場の管理者になれるのであれば、私のワークの場が確保できるだけでなく、同時に、業界の方々でワーク会場を探している人々にも貢献できるのではないか、と思っています。
この北岡最上級資格コースの企画の詳細につきましては、決定次第、本メルマガ、サイト等で告知させていただきたいと思っています。