以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 100 号 (2009.2.11 刊) からの抜粋引用です。
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今回は、「エリクソン催眠完全習得ワークショップ」について、「入眠時催眠状態と出眠時催眠状態について」、「口頭的、意識的アプローチ vs 非口頭的、無意識的アプローチ」および「NLPと時代のパラダイム」についての考察がカバーされています。
1) 「エリクソン催眠完全習得ワークショップ」 について
私は、昨年の 3 月に「封印」を誓った「エリクソン催眠完全習得ワークショップ」の封印を解くことを決意し、 この催眠ワークショップは、1 月 24 日、25 日、2 月 7 日、8 日の四日間の日程で無事開講され、終了しました。
今回は、北海道、東北、近畿からの出席者もいらっしゃっていて、私と初対面の方も 2/3 の割合を超えていていました。これらの方々は、私の新著『一瞬で新しい自分になる30の方法』→北岡泰典公式サイト→日本 NLP 協会の流れで、本ワークショップへの参加を決意されたようで、このことは非常に喜ばしいことで、かつ、私にとっては励ましになることでした。
ワークショップでは、催眠実践家としての催眠誘導技能の完全習得、日常のごく普通のコミュニケーションは催眠現象で満ちていることの理解と認識、このため、自己保身として催眠技法を習得していなければ、簡単に (テレビのコマーシャル、プロパンガンダ、政治家の発言等を含む) 他の人々の催眠行為に簡単に操作されてしまうことの認識、自分自身の中に眠っている無意識とその無限の潜在性に対するアクセスの方法の習得、その他のエリアが、非常に綿密かつ詳細な形で、カバーされました。
私自身、個人的には、参加者全員の事前の予想を超える内容の催眠ワークを提供できたと、自負しています。
この好評さをもとにして、今後今年の 6 月に同じワークショップを再開講する線で、現在スケジュールの調整がなされています。
なお、本ワークショップに関しましては、事前に「エリクソン催眠完全習得ワークショップ無料説明会」が開かれましたが、その参加者のお一人から、非常に気になる質問を受けましたので、ここで、誤解を避けるために、言及させていただきます。
この方は、国内のある NLP 団体 (実は、私も過去に関係していたことのある団体ですが) の上級ワークのカリキュラムに「NLP の学習内容の一部」として「エリクソン催眠」の項目があったので、 「エリクソン催眠は、NLP をまず学習しなければ、学ぶことはできないのですね」とおっしゃったので、私は、以下のように説明させていただきました。
「歴史的に言って、NLP は、催眠、特にエリクソンの催眠をもとにして生まれているので、論理的に言っても、催眠の概念の方が NLP よりも大きく、その意味で、(かりにもし、催眠を学ばなければ NLP は学べない、という論議が成り立つとしても) NLP を学ばなければエリクソン催眠を学べないというのは、ナンセンスだと思います。
ちなみに、巷で言われている、エリクソン財団系の (深い夢遊病者的催眠状態を重視する、と言っても過言ではない) 『エリクソン催眠派』と、NLP の観点からエリクソンの催眠を分析した (エリクソンの催眠を形式的な観点から分析した、ごく軽い日常的トランスを最重要視する) 『ミルトン モデル派』の二派が存在しますが、どうも国内では両者が相互対立しているようにも思えますが、欧米では、うまく両者が住み分けて、かつ相互交流しながら、いい関係を保っているようです。」
この私の言質に対しても、この方は「しかし、この団体では、エリクソン催眠が NLP の学習の一部になっています」という立場をどうしても崩せないように見受けられたので、個人的には、恣意的で、バイアスのかかっている一つの見解にすぎないかもしれないこの団体の紹介のし方の「催眠」にかかっていらっしゃるのでは、と思いました。(これは、個人的には、非常に危険なことだと思いました。)
2) 入眠時催眠状態と出眠時催眠状態について
私のある知り合いの方は、ほとんど睡眠を取らない方のようで、その方に「あなたはほぼ一日を『入眠時催眠状態』と『出眠時催眠状態』の中で過ごされているのですね」と指摘させていただいたとき、「では、熟睡しないので成長ホルモンが分泌されない故、私は物忘れが激しいということでしょうか?」と逆質問されたので、以下のように説明させていただきました。
「人間は、『入眠時催眠 (hypnogogic)』と『出眠時催眠 (hypnopompic)』状態」のときに、一番自分の『潜在意識』 (通常、NLP ではこの用語は使われませんが) との直接交信が可能になるので、たとえば、以下のことが起こります。
1) 批判的マインドがバイパスされる
2) 選別的意識が存在する (以上二つは、催眠実践家のデイブ エルマンの「催眠」の定義です)
3) 非常に深い変性意識状態に入る
4) 創造的な自己の側面が前面に出て、非常にユニークな『性格』 (これも NLP 用語ではないですが) が形成されやすい
5) 自己暗示がそのままプログラミングされやすい
6) (そう望めば) 自分の潜在能力が最も引き出される状態である
7) いわゆる『妄想』が激しくなる
8) 『多重人格』的な状態 (= これが『物忘れ激しい』に近い状態です) になりやすい」
3) 口頭的、意識的アプローチ vs 非口頭的、無意識的アプローチ
私は、日本NLP協会主催で「プチ ライブ ワークショップ」を開講していますが、ある参加者の方と以下のメール交信をさせていただいたので、紹介させていただきたいと思いました。
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(ワークショップ参加者のコメント)
こんにちは。
先日プチライブワークショップでお世話になった者です。
(最初のワークの「ラポール形成演習」で) 先生の「ハグするぐらいの勢いでラポールを形成してください」という言葉を勘違いしてしまい、演習のペアの相手の方に握手したり、膝に触ったりしてしまいました。たぶん、相手の方の反応がいまいちだったので、何とかスキンシップでラポールを形成しようと思わず無意識に行ったしまったのだと思います。
二番目の (アンカーリングの) ワークの先生のデモの際に、デモ演習のクライアント役の方について、先生は「膝に嫌な記憶のアンカーがかかっていますね」という趣旨の分析をされておられました。
しかし家路に帰る道すがら考えたのですが、私はそうじゃないのかもしれないと思ったのです。つまり、彼はどこを触られても嫌悪を感じる人なのではないかと思うのです。
というのも、この方は、自己否定感を基にした過剰防衛(心の引きこもり)を持っているように感じたからです。
で、身体に触れるという事が「過剰に防衛している心」、あるいは「過敏になりすぎ引きこもってしまっている心」に触れるという事に直結しているのではないかと思うのです。
であれば、身体のどこに触っても、触れて欲しくない心にさわる事になるので、膝にアンカーがかかっているという局部的な分析では十分な説明にならないのではないかと思うのです。
実際、セッションが終わった後、この方に「膝だけ触られるのが嫌なのですか?、それとも全身どこもかしこも嫌なのですか?」と質問してみたのですが、「分からないです。触れられたことが今までなかったので・・・・」というお答えでした。
この言葉は、私の意見も十分可能性がある証拠となると思うのです。
そして上記を受けて思ったことは、NLPは原因分析には向かないツールではないかという事です。
むしろ、そんなことはどうでもよく、能動的にこれからの自己を改善してゆくときに利用できるツールなのではないかということです。
また次回のワークショップに参加加させていただきます。
ありがとうございました。
とても楽しい集まりでした。
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(北岡の返答メッセージ)
貴メールに感謝します。
貴殿のおっしゃっていることに、(1、2 点の事実誤認を除き) 原則的にすべて同意します。
> 先生の「ハグするぐらいの勢いでラポールを形成してください」という言葉を勘違いしてしまし、ペアの男性に握手したり、膝に触ったりしてしまいました。
については、「ハグするぐらいの勢い」とは指示しましたが、「ハグしてください、触ってください」とは指示していませんね。
このような場合は、指示を文字通り守ることが、高質の NLP 効果達成には、常に求められています。
> 2番目のセッションの際に彼を先生は「膝に嫌な記憶のアンカーがかかっている」という趣旨の分析をされておられました。
>
> しかし家路に帰る道すがら考えたのですが、私はそうじゃないのかもしれないと思ったのです。
>
> つまり、彼はどこを触られても嫌悪を感じる人なのではないかと思うのです。
私は「膝『だけに』に嫌な記憶のアンカーがかかっている」とは言っていないので、「そうじゃないのかもしれない」というご意見は不適切かもしれない、と思われます。
つまり、私は、あのとき、他のアンカーをすべてチェックしていないので、「彼はどこを触られても嫌悪を感じる人なのではないか」という想定は、当たっているかもしれないし当たっていないかもしれない、ということです。これは、ご本人が望めば、他の人がチェックできますが、そうでないかぎり、この想定の真偽は、誰にもわかりません。
私が学んだ高質 NLP は、そういう想定そのものを落としなさい、というものでした。
> というのも、この方は、自己否定感を基にした過剰防衛(心の引きこもり)を持っているように感じたからです。
(中略)
> この言葉は私の意見も十分可能性がある証拠となると思うのです。
あの演習の目的は、相手の問題の解消ではなく、自分の世界地図 (想定)を落とした上でのラポールの形成でした。
ですので、貴方のご意見は「想定」ということになります。
> そして上記を受けて思った事は、NLPは原因分析には向かないツールではないかという事です。
貴方に完全同意します。
この完全同意の意味合いは、NLP は過去の原因分析にはいっさい向かないと教えてきていますが、(当人の体全体に否定的なアンカーが広まっているかどうかは、チェックしていないので、誰もわからないですが、「少なくとも」) 膝にアンカーがあったことだけは、実体験的に皆の前で実証されたので、NLP は、今ここで何が起こっているかのメカニズムについての解明には極めて有効な方法論だ、という点です。
> むしろ、そんなことはどうでもよく、能動的にこれからの自己を改善してゆくときに利用できるツールなのではないかということです。
そうですね、相手の頭の中で何が起こっているかについての想定は「どうでもいい」ことですね。NLP は、「自分がどのように変わるか」だけに焦点が合わされています。
NLP は実際に起こっていることだけを、経験的に解明する方法論です。左脳的分析は一切排除しようとします。
貴メールに感謝します。
今後ともよろしくお願いします。
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この方は、NLP を含め、「ファシリテーション」 (セラピー、コーチング、カウンセリング、コンサルテーション、顧問業務を含め、「クライアントに変化を引き起こすことを助けるセッション」のすべてを包含させる語として、今後私が使っていきたい言葉です) のセッションでは、「ファシリテータ」 (同じく、「クライアントに変化を引き起こすことを助ける人」の意味です) は、クライアントと意識的なコミュニケーションをする必要があり、クライアントの口頭の返事をそのまま受け取ることが必要とされている、と信じていらっしゃったようで、「クライアントがどのような『意識的な口頭の返事』をしようとも、『無意識的な非口頭の返事』の方が本当の返事であるというのが、NLP (特に NEW コード NLP) のスタンスである」という私の立場を理解していただけたようでした。
また、「NLPは検証されない全ての想定を排除する学問」であり、「NLP は、他の意識的なアプローチとは一線を画していて、クライアントの口頭の返答は『ほぼ』無視して (そのようなものはほとんど頼りにならないからです)、その非口頭の反応だけをカリブレートする、無意識的、催眠的アプローチである」という私の見解にも同意していただけたようでした。
この方には、「私のメルマガを熟読されてきたようですが、文面ではわからなかった、この点に、実際のワークの場で気づかれたのは『コペルニクス的転換』ではないでしょうか」とも伝えさせていただきました。
それに対しては、この方は、「『コペルニクス的転換』には驚きました。が、天動説でないらしいことが分かっても、地動説を確信するのはもうすこし時間がかかりそうです」というお答えをされていました。
4) 「NLPと時代のパラダイム」について
現在、私の「スピリチュアル NLP」ワークショップが大井町の Valvex で開講中ですが、その参加者のお一人から興味深い「NLPと時代のパラダイムについて」というメッセージをいただいたので、本紙上で引用紹介させていただきたいと思いました。
「北岡先生の『スピリチュアルNLP』の参加者です。
先日、あるヒーリング・パーソンのスピリチュアル・ガイダンスに関する講座に行ってきました。
私は常々、NLPの『メタ』に入った状態が、精神世界で言う『ハイヤーセルフ』とつながる状態ととてもよく似ているなぁと思っていました。
lこの講座はセルフ・ガイダンスを受ける方法というテーマでしたので、行ってみたわけです。
その講座のなかで、時代のパラダイムの話がありました。
今までは魚座の時代だったのが、水瓶座の時代へ移行している、という話です。
その間のだいたい200~300年が移行期になるそうです。
講座では、水瓶座時代の特徴としては、フランス革命が掲げた『自由、博愛、平等』が引用されていました。
魚座は一握りの優秀な人たちが支配するピラミッド型だったのが、水瓶座は風の星座であるので、ドライで水平的。
従って、個々の自立が非常に大事になってくるそうです。
ここで思ったのですが、NLPはまさしく水瓶座時代のものであるということです。
NLPが生まれたのも、1970年代。ヒッピーカルチャーなどは、水瓶座時代の象徴的なものとして挙げられていますし。
今の日本では、いわゆるスピリチュアル的なことをやっているところは、以前に比べると、男性も増えてきましたが、ほとんどが女性です。
ま、実際真摯にコミットしているところが少ないのも、原因だとは思いますが。
この不況が禊となって、世の中の価値観は大きく変わります。
これからは、今まで以上に、魂のこと、高次の目的のことが問われる時代になる(もうなっている)と思います。
おそらくこの時代に、NLPはものすごく貢献できるんではないか、とまたまた可能性を感じた次第でありました。
既に北岡先生はお気づきのことだったかとは思いますが、ちょっと感動してしまいました。
本物に出会えた嬉しさとでも言うんでしょうか。
ではまた次回のワークショップで宜しくお願いします。」